出版社内容情報
女性シュルレアリストの魔術的魅力を伝える幻想小説集。恋人エルンストの序文・コラージュを収録した表題作をはじめ、「卵型の貴婦人」「ダウン・ビロウ」など。
内容説明
エルンストとの至上の恋愛の精華。エルンストのコラージュ11点。キャリントンとエルンストをめぐる写真20点。キャリントンのスケッチ2点収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yn1951jp
40
短い蜜月、レオノーラのおとぎ話がエルンストの暴力的なコラージュと共にブルトンの言う「驚異marvellous」な世界を描き出したのだ。1937年20歳のレオノーラはシュールレアリストたちの「ファム・アンファム」、マックス・エルンストの「風の花嫁」となり「動物や馬がうっとりと聞き惚れる真実の物語『恐怖の館』」を書いた。恐怖の館のパーティゲーム、禁断の木馬遊戯、発狂した女王陛下の暗殺代理人、社交界へのハイエナの身代わりデビュー、恋人の死体と40年暮らす男、上流階級の優雅で俗悪な暮らし。2015/01/26
sankichineko
25
「彼女は微かに馬に似ていましたが、馬よりずっと醜悪でした。」物語全体を悍馬のように奔り抜ける狂気。凄まじかったです。前半の「恐怖の館」、「卵形の貴婦人」がとくに突き抜けていました。「リトル・フランシス」、「ダウン・ビロウ」は実体験を基にしているためか、彼女の狂気そのものが反映されているようで、痛々しかった。図書館で借りた本ですが、購入して手元におきたいと思いました。2015/10/12
りー
22
『耳ラッパ』に感銘を受け、引き続きレオノーラ・キャリントンを。こちらは『耳ラッパ』よりもシュルレアリスム色が強く、人に紹介したら序文を読んだ瞬間に「意味がわからない!」と文句を言われた。そうだね、僕にもわからない。だけどわからないなりに、その不条理さとびっくり箱の様なワクワクが楽しめる短編、夢の続きでも見続けている様な酩酊感のある中編と精神病院での回想録、どれも満足のゆくものだった。『耳ラッパ』よりこちらの方が、様々な視点からキャリントンを感じられる一冊になっている。2014/02/04
りつこ
17
一言で言えばシュール、かな。奇想が好きな人なら、前半に収められた短編は楽しめると思う。私も以前読んだ「耳ラッパ」よりも、「恐怖の館」「デビュタント」の方が楽しめた。作者自身の私生活を投影させた「リトルフランシス」もギリギリセーフ。でも「ダウンビロウ」は連れていかれそうで怖い…。そうかこの危うさは狂気に通じているのだな。2012/06/19
うなぎ
16
図書館。途中でリタイア記録。最近自分がちょっと疲れてるからか、不条理な世界観や突拍子もない展開に脳みそがついてこれなかった。元気だったら、もう少し楽しめそう。以前別の短編集で知った『最初の舞踏会』こと『デビュタント』が残酷な童話感で、ドレスを着て人間の顔の皮をかぶったハイエナとビジュアルも凄く生臭そうで不気味な感じが好み。2022/02/10