内容説明
だから、狂う。しょっちゅう頭が痛い。はさみでイーイッ、首を刺したい…朝鮮で生まれ、沖縄で死んだペ・ポンギさんは、“元慰安婦”の最初の証言者である。帝国日本の植民地支配・皇軍の性暴力を受けた朝鮮人女性が遺した言葉を歴史に刻む。
目次
1 ポンギさんの放浪(出会い;少女時代;興南から沖縄へ;赤瓦の家;戦争;皇軍の地下足袋;渡嘉敷へ)
2 三つの島の慰安所(渡嘉敷島;座間味島;阿嘉島)
3 新礼院へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
35
強制か自発的か、性奴隷か売春婦か、そんな不毛な議論では到底すくい上げられない、心身をずたずたにされて異郷に取り残されたポンギさんの寄る辺のない孤独に耳を傾ける。遊んで暮らせると騙されて朝鮮から連れてこられた沖縄で待っていたのは一日数十人の兵士の性の相手。しかし本当の孤独は敗戦後、朝鮮にも帰れず沖縄にも馴染めず、落ち着かないまま体を売りつつ放浪する日々にあった。バラバラになったジグソーを拾い集めるように、彼女とともに慰安所で過ごした仲間の消息をたどる著者の視点から、沖縄戦の別の側面が見えてくる。2022/07/01
ヒラP@ehon.gohon
21
沖縄の戦争には、朝鮮から連れてこられた従軍慰安婦もいたのですね。 悲惨な戦争の裏面も現実として、意味深いものを感じました。2022/05/09
reading
11
知られざる沖縄戦。想像を絶する従軍慰安婦の人生。貴重な生きた声。2024/01/21
二人娘の父
5
戦時性暴力、慰安婦、沖縄における日本兵、根源のひとつにある朝鮮の植民地支配などの課題を考えるうえで、非常に貴重な記録である。 そして何よりもペ・ポンギさんという、ひとりの人間が生きた記録が残されたことの意味を考えたい2024/04/24
yuka
2
戦争で犠牲になったのは、もちろん日本人だけじゃない。 それは分かっていたつもりですが、突き付けられたような気がしました。 日本は戦争による被害者であり、加害者でもあるってことを忘れてはいけない。 また、沖縄という土地でこのような悲しい歴史があったこと、それも覚えておかなければいけないと感じました。
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- 和書
- 放浪・廻遊民と日本の近代