出版社内容情報
同じく『付録と補遺』の一部.該博な教養を模範的な散文のうちに盛りこんだこの人生の箴言集は,哲学の専門領域を越えた書として広く読まれる.ドイツ観念論の体系構築をしりぞけて,世界はすべて盲目的意志なりと説いたこの厭世的哲人が語る『知性』の章は,その透徹した観察と辛辣な表現によって読む人すべてを魅するであろう.
内容説明
ショーペンハウエル(1788‐1860)の主著『意志と表象としての世界』以上に愛読された『付録と補遺』の一部。該博な教養を模範的な散文に盛りこんだこの人生の箴言集は、哲学の専門領域を越えた書として広く読まれる。ドイツ観念論の体系的構築をしりぞけて、世界はすべて盲目的意志なりと説いた厭世的哲人の透徹した観察と辛辣な表現。
目次
哲学とその方法について
論理学と弁証法の余論
知性について
物自体と現象との対立についての二三の考察
汎神論について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茉莉花
35
難しかったです!特に哲学と論理学と弁証法の話は何を言ってるんだかさっぱり分からなかったです。けど「知性について」のテーマがやはり一番興味深くて読んでて面白かったです。「天才とは意志のための奉仕に必要な程度を断然超過する知性を具えてる人(その成果が世界との事物について客観的な把握となる)」「天才とは二重の知性を具えている人間のことで一方は彼の意思に仕えてる自家用のもの、他方は世界を純粋に客観的に把握してそれの鏡となる」その努力によって芸術・詩・哲学なりの作品で再現される等々。私もそのような天才になりたいな~2016/03/15
イプシロン
34
本著はショーペンハウエルの主著『意志と表象としての世界』の『 パレルガ・ウント・パラリポメナ「余禄と補遺(訳は「筆のすさびと落穂拾い」のほうが好み)」』なので、主著を読んでいないと適切な解釈が難しいかもしれない。同様のことは『読書について』『自殺について』にも言える。ともあれ、それでも読みたいという向きには、カントの『純粋理性批判』とプラトンの『国家』の概略を知っているという前提があれば良いだろう。ともあれ、内容は抜群に面白い。というのは、彼の持ち味ともいえる辛口毒舌がいいスパイスとなっているからだ。2022/06/01
U
26
理解できた部分は断片的だったけど、僅かでもためになった。思いついた考えは、すぐにメモする。対して、既にまとめられたもの(書物)は、あとを辿ることができるので、メモしない。2015/07/12
Y2K☮
22
芥川好きなら一度は目にしている名前。学生時代に読んだはずだが、何も覚えていない(苦笑) 今回もモヤっとする部分は流した。まさに孤高の人。私は「人生に無駄は一つも無い。無駄だと思えば無駄になる」主義なので、そんなに堅苦しくならんでもって部分もいくつか。金や出世に結びつかない学問など不要と捉える輩への批判もわかるが、そういう人にも事情があるのだし。ただ本を読むだけでなく自分の頭で考える事の大切さ、一つの能力を伸ばす為に他が人より劣るのは必然という見解には同意。何でも器用にこなす人はカッコいいけどつまらない。2015/03/08
nobody
15
哲学無用論を基底にもつ私としては、哲学とは宗教なのではないかと思う。カント以降のドイツ観念論には、著者はキリスト教でなく仏教を推賞するとはいえ、自然・世界は本来善たるべく予定調和するという強固な信念が見受けられる。それが著者のいう意志だ。世界は善き全きもののはずという信念なしには生きられない人間というものの本質を表しているようだ。因果律に無縁なる意志の内実はならば何なのか、知性・認識が及ばぬなら不可知論に陥る。著者に“超然”という言葉が一番相応しい所以であろう。「知性は形而下的」では何を以てか世界に臨む?2018/10/04