内容説明
徳川から明治にかわる、激動の時代のせいもあった。堺事件の起きた前年の慶応三年十月には、十五代将軍・徳川慶喜が、大政奉還をした。日本の諸大名は、自分の藩が、日本の将来が、どうなるか、わからなかった。土佐藩の歩兵隊は、幕府の役人が逃亡した堺の警備にあたり、攘夷の信念もあり、堺港から上陸したフランス兵を銃撃したのだ。慶応四年二月十五日の堺事件の知らせは、土佐藩だけではない、諸外国公使に、天皇謁見の重大事をまえにした、明治新政府をも、ふるえあがらせた。激動の時代に、命をもてあそばれた、土佐藩歩兵隊の運命は…。