「グローバル人材」再考―言語と教育から日本の国際化を考える

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  • サイズ A5判/ページ数 302p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784874246399
  • NDC分類 810.7
  • Cコード C3036

出版社内容情報

グローバル人材を日本語との関わりから捉え、日本語教育と外国語教育の専門家たちが論じた画期的な研究書。近年のグローバル人材育成の方向性に疑問を投げかけ、「日本語で」日本を発信できる人材として、青年海外協力隊に着目する。

本書は、近年の日本の「グローバル人材」育成構想に疑問を投げかけ、日本が育成すべき真の「グローバル人材」像を示すために編まれた。長年、自らグローバルな環境を生き、今またグローバルな人材の育成に様々な形で関与する執筆陣が、こうした主旨のもとに、それぞれの視点からの論を展開していく。(中略)
そして本書の末尾には、2014年1月に、京都大学において開催された特別シンポジウム「グローバル人材と日本語―日本の国際化を担う人材が磨くべき言語能力とは」から、鈴木孝夫、當作靖彦、大木充、西山教行、平畑奈美が参加した鼎談の記録を添える。大胆かつ直截的な発言で知られるパネリストが参加したこの鼎談では、日本の外交・教育政策のゆらぎ、強迫的な英語学習への執着、さらには近年話題の日本の歴史認識、「愛国心」の問題、社会の風潮までが俎上に載り、議論は自由闊達かつ縦横無尽に繰り広げられる。日本はどこに行こうとしているのか、今我々が最も大切にしなければならないものは何かを、共有しようという会場の熱気は、今回文字に姿を変えて、本書の読者にも共有されるであろう。(「まえがき」より)

まえがき
平畑 奈美

序 章 いま日本が必要とする対外言語戦略とはなにか
鈴木 孝夫


第1部「教育」 グローバル時代の高等教育への批判

第1章
グローバル人材育成のために―社会と教育の果たすべき責任とは
當作 靖彦

第2章
グローバル人材育成政策と大学人の良識
大木 充

第3章
言語教育はどのくらい経済成長の役に立つのか―オーストラリアの事例から考える
嶋津 拓


第2部「人」 グローバル社会を生きる若者たちへの視座

第4章
「グローバル人材」の育成はオールジャパンで―青年海外協力隊事業をめぐる杞憂と夢想
佐久間 勝彦

第5章
「グローバル市民」の「ことば」の教育とは―接続可能な社会と媒体としての個人
福島 青史

第6章
「グローバル人材」と「地球的人材」との距離―「国際ボランティア」日本語教師のキャリア意識をめぐる考察
平畑 奈美


第3部「政策」 国際化に向けた言語教育政策への提言

第7章
グローバル化時代のグローカル人材育成と日本語教育
尾崎 明人

第8章
私事化する教育と言語教育の可能性―グローバル人材に欠けるものは何か
西山 教行


鼎 談
グローバル人材と日本語―日本の国際化を担う人材が磨くべき言語能力とは

鈴木 孝夫  當作 靖彦  大木 充
コメンテーター:西山 教行
司会:平畑 奈美


フランスと日本の自国語普及政策をめぐって―あとがきにかえて
西山 教行

【著者紹介】
西山 教行(にしやま のりゆき)
京都大学人間・環境学研究科教授、国際フランス語教授連合(FIPF)アジア太平洋委員会委員長、日本フランス語教育学会副会長、日本言語政策学会副会長。
明治大学大学院博士後期課程満期退学、ポール・ヴァレリー大学専門研究課程(DEA)修了。
専門は、言語教育学、フランス語教育学、言語政策。
【主著】『マルチ言語宣言―なぜ英語以外の外国語を学ぶのか』(共編、京都大学学術出版会、2011)、『複言語・複文化主義とは何か―ヨーロッパの理念・状況から日本における受容・文脈化へ』(共編、くろしお出版、2010)等

平畑 奈美(ひらはた なみ)
滋賀大学国際センター准教授。
早稲田大学大学院日本語教育研究科博士後期課程修了、博士(日本語教育学)。
専門は、日本語教育、社会心理学。
【主著】『「ネイティブ」とよばれる日本語教師―海外で教える母語話者日本語教師の資質を問う』(春風社、2014)、「アジアにおける日本語母語話者教師の新たな役割―母語話者性と日本人性の視点から」(『世界の日本語教育』18、2008)

内容説明

さまざまな言語を尊重し、対話を重ね、「日本語で」日本を発信できる人材。その育成のために必要な人・教育・政策とは。鈴木孝夫・當作靖彦・大木充による鼎談「グローバル人材と日本語」収録。

目次

いま日本が必要とする対外言語戦略とはなにか
第1部 「教育」グローバル時代の高等教育への批判(グローバル人材育成のために―社会と教育の果たすべき責任とは;グローバル人材育成政策と大学人の良識;言語教育はどのくらい経済成長の役に立つのか―オーストラリアの事例から考える)
第2部 「人」グローバル社会を生きる若者たちへの視座(「グローバル人材」の育成はオールジャパンで―青年海外協力隊事業をめぐる杞憂と夢想;「グローバル市民」の「ことば」の教育とは―接続可能な社会と媒体としての個人;「グローバル人材」と「地球的人材」との距離―「国際ボランティア」日本語教師のキャリア意識をめぐる考察)
第3部 「政策」国際化に向けた言語教育政策への提言(グローバル化時代のグローカル人材育成と日本語教育;私事化する教育と言語教育の可能性―グローバル人材に欠けるものは何か)
鼎談 グローバル人材と日本語―日本の国際化を担う人材が磨くべき言語能力とは

著者等紹介

西山教行[ニシヤマノリユキ]
京都大学人間・環境学研究科教授、国際フランス語教授連合(FIPF)アジア太平洋委員会委員長、日本フランス語教育学会副会長、日本言語政策学会副会長。明治大学大学院博士後期課程満期退学、ポール・ヴァレリー大学専門研究課程(DEA)修了。専門は、言語教育学、フランス語教育学、言語政策。学部、大学院ではフランス文学を学んだが、非常勤講師としてフランス語を教えるようになって以来、フランス語教育に惹きつけられ、フランスでの専門家養成を通じて、外国語としてのフランス語教育学、言語政策に関心を高める

平畑奈美[ヒラハタナミ]
滋賀大学国際センター准教授。早稲田大学大学院日本語教育研究科博士後期課程修了、博士(日本語教育学)。専門は、日本語教育、社会心理学。自動車メーカーの研究員として、日本のものづくりの世界を経験したのち、日本のことばの世界に転向。アメリカ、ウズベキスタン、ウクライナ、アゼルバイジャン、ロシアで日本語教育に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Nobu A

4
産官学で「グローバル人材」育成が叫ばれ、この文言を見聞きしない日はない。日本語普及の重要性を説く序章に続き、海外の状況、「グローバル人材」の見本ともなり得るJICAの意義と課題、国内の人材育成と教育政策の問題点と提言の3部構成。締めは2014年に京大で開催されたシンポジウムでの鼎談。8本の論文はどれも興味深い内容。歴史的背景、海外との比較、JICAの現状等を通し、且つ様々な視点から分析、考察することで色々なことが見えてくる。「グローバル人材」を問い、あらゆることを考えさせられる啓蒙書。2019/09/25

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