出版社内容情報
コンピュータサイエンスの勃興期に今日の先端研究の基礎を築いた科学者の一人、山田尚勇が「ヒューマン・インタフェース」の観点から、日本語の表記と入力についてまとめた論考の第一巻。スマホ開発のエンジニアにもお勧め。
第一部 日本語とヒューマン・インタフェース学
第 I 章
はじめに
1 なぜヒューマン・インタフェース学が関わってくるのか
1.本書の目的
2.応用言語科学とヒューマン・インタフェース
3.オフィスの生産性の国際比較
2 本書における思考の哲学
1.基礎のたいせつさについて
2.科学と歴史との教育における方法論の差
3.本書をまとめるにあたってとった方針
3 本書について
1.本書で用いた表記法について
2.本書を読むにあたって注意して欲しいこと
謝辞
第 II 章
ヒューマン・インタフェースと人間の本性
1 ヒューマン・インタフェース
1.作業と道具
2.人間を中心とする視点
3.作業の楽さと自然さは何で決まるか
2 人間の本性について
1.人間の言語機能の進化
2.思考の基底はパタン処理
3.画像的思考への回帰
3 ヒューマン・インタフェースの評価とは
1.複合成分を持つ作業における一貫性
2.媒介変数の多様性
3.人間の脳機能に基ずく文章入力機器の分類
第二部 脳の科学
第 III 章
脳の構造と共感覚および知識
1 ヒトの脳の構造
1.脳の構造の理解における歴史的発展
2.脳の構成の細部
3.脳機能の分散処理と脳の活動の可視化技術
2 共感覚
1.通様相知覚と共感覚
2.共感覚と系統発生学
3.共感覚の発現の非皮質性
3 共感覚の発生源
1.意味差分法
2.共感覚の意味差分
3.意識下の思考活動
4 共感覚の特徴化
1.類似現象との対比による共感覚の特徴抽出
2.感覚遮断と宗教の起源についての関係
3.共感覚の大脳辺縁系起源
4.共感覚の最近の研究が脳機能の解明に寄与したこと
5 大脳の発達と意識の出現
1.神経細胞網の発生と発達
2.意識の出現
3.発達と天才と狂人と
第IV章 大脳の機能
1 人間の大脳両半球の機能
1.左右両半球間の機能分化
2.機能分化の複雑さ
3.大脳右半球の機能
4.右の頭頂葉の損傷と半側空間無視
5.例外的観察と左利き
6.右利きの指使い
7.吃音(吃り)
8.寝るときの右と左
2 脳梁切断患者
1.脳梁切断患者の画像模写
2.タキストスコープによる半球機能の差別化
3.左右両半球が持つ独立の人格
4.左右両半球が持つ別人格の不完全独立性
3 両半球と思考過程の差
1.単語の認知作業と左右半球の関与
2.健常者と二つの思考過程
3.視覚についての主観的判断
4.意識下の思考の性格
4 学習の機序と脳の活動領域
1.学習理論の歴史的発展
2.認知主義を支える神経接続回路
3.行動主義を支える神経接続回路
4.記憶系と習慣系の協調を示す具体例
5.技能取得における学習法の重要性
5 脳波と応用
1.脳波およびそのほかの観察方法
2.脳波についての基礎知識
3.準備電位と事件関連電位
4.脳波の応用例
第三部 脳における色彩の処理
第V章 大色彩の知覚および表色の標準化
1 色彩と色覚
1.光と色
2.眼と色覚
2 色の表現法
1.表色図
2.3原色三角形の外の色彩
3.マクスウェルの精密実験と色度図
4.グラスマンの法則と光のベクトル表示
3 色彩記述の標準化
1.単波長スペクトル光ベクトルの軌跡
2.CIE の xy色度図
3.色覚による色彩の弁別能力
4.カラー・オーダー・システム
第VI章 色彩の記憶と処理
1 認知心理学的基礎
1.Stroop効果
2.大脳両半球における Stroop 効果の差
3.色の識別実験
2 大脳神経学的基礎
1.大脳の損傷と色識別の能力
2.色の識別と形の識別とのあいだの相関
3.健常者に対して人工的に誘起した異常状態
3 色彩間の心理学的距離
1.色彩による記憶の補助
2.文化や言語への色名の依存性
3.2色のあいだの心理的距離
4.シェパードの非計量的多次元尺度構成法の概説
4 尺度構成法の計算結果と直観による判断
1.CIE色度図とShepardの色彩間距離の比較
2.マンセル表色系上の色票配列と色間の心理的距離
3.二つの色のあいだの自然な色変化の逐次内挿
4.物理的空間における配色の心理的最適化
5.色間の心理的距離と一般視認性
【著者紹介】
山田尚勇(やまだ ひさお)
1930年東京生まれ。台湾育ち。1953年東京大学工学部電気工学科卒業。1956年米国ぺンシルバニア大学修士,1960年同博士課程修了。工学博士(Ph.D.コンピュータ・情報科学)。米国IBM ワトソン中央研究所研究員,ペンシルバニア大学コンピュータ・情報科学科准教授を経て,1972~1991年東京大学理学部教授。1988~1996年学術情報センター(現・国立情報学研究所)研究開発部長,同副所長。1996~2001年中京大学情報学部教授。(東京大学・学術情報センター名誉教授)。
著書,『漢字民族の決断』(共編著,大修館書店1987),Certain problems associated with the design of input keyboards for Japanese writing, in: W. Cooper (ed.), Cognitive Aspects of Skilled Typewriting, pp. 305-407, Springer-Verlag, 1983他。
論文,Regular expression and state graphs for automata, IRE Transactions on Electronic Computers, Vol. EC-9, No.3 1960 (McNaughton & Yamada), Real-time computation and recursive functions not real-time computable, IRE Transactions on Electronic Computers, Vol. EC-11, No.12, 1962,他多数。
研究分野,オートマトン・形式言語理論,Tコード(無連想打鍵方式による日本語入力)開発等の日本語表記・入力に関する自然言語・情報科学・認知科学・ヒューマンインタフェース学および脳科学。
2008年肺がんのため死去。
内容説明
ヒューマン・インタフェースの観点から日本語の入力・表記を捉え直す。コンピュータサイエンスの先駆的科学者が、日本語の表記と入力の問題を提示。自らの専門知識と、脳科学、認知科学、漢字論など幅広い視点で捉え直すシリーズ。第1巻は、ヒューマン・インタフェースと日本語表記の関わり、日本語入力を司る脳の科学、記憶強化に適用可能な色彩の科学。
目次
第1部 日本語とヒューマン・インタフェース学(ヒューマン・インタフェースと人間の本性)
第2部 脳の科学(脳の構造と共感覚および知識;大脳の機能)
第3部 脳における色彩の処理(色彩の知覚および表色の標準化;色彩の記憶と処理)
著者等紹介
山田尚勇[ヤマダヒサオ]
1930年東京生まれ。台湾育ち。1953年東京大学工学部電気工学科卒業。1956年米国ペンシルバニア大学修士、1960年同博士課程修了。工学博士(Ph.D.コンピュータ・情報科学)。米国IBMワトソン中央研究所研究員、ペンシルバニア大学コンピュータ・情報科学科准教授を経て、1972~1991年東京大学理学部教授。1988~1996年学術情報センター(現・国立情報学研究所)研究開発部長、同副所長。1996~2001年中京大学情報学部教授
岡留剛[オカドメタケシ]
1988年東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻博士課程修了。同年NTT基礎研究所に入所。2001年から2003年にかけて(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の経営企画部に在籍し、その後、NTTコミュニケーション科学基礎研究所主幹研究員を経て、関西学院大学理工学部教授。博士(理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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