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覚悟―第一詩集

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  • サイズ B6判/ページ数 94p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784874245743
  • NDC分類 911.56
  • Cコード C0092

出版社内容情報

14才の夏、崖の土砂が崩れるように座り込み動けなくなった私はやっと動かせる指先で体内の激情を小さな電子文字に落としこむ。他人と隔絶され数年を過ごした今、世間の批評を受ければ過去の私は肉づき現在の私となめらかに連結する。

17才 果物が自らを割って流す蜜のように 思いは溢れるもの……

14才の夏、崖の土砂が崩れるように座り込み動けなくなった私は唯一自由になる指先で体内の激情を小さな電子文字に落としこむ。他人と隔絶され数年を過ごした今、世間の批評を受ければ過去の私は肉づき現在の私となめらかに連結する。

カバーイラスト:矢野七海(第1回 童画・つぶやき・えほん塾最優秀イラスト賞受賞作品)

■「背もたれのない椅子」
背もたれのない椅子に座っている
視点は平民よりも上にある
人々の髪の生え際を
真上からつれづれと見渡せる
生まれながらにして
審判を下せる位置にいる

地上を懸命に這う二本足に憧れて
階下に飛び移ろうにも
椅子は何故か
その平坦な地面に前触れもなく稲妻の鋭さで刻まれた
底の知れない恐ろしい亀裂の
丁度中心に据えられている

■「発露」
私の感受性をあざけって
なおざりに排泄するだけの体が嫌だった
言葉が欲しいとおもった
自分の体をはなれた清潔な舞台で
気持ちがみずみずしく立ち上がるのが見たかった

■「覚悟」
あの人に会いたい
会うためにまず
私は
私を信じなければならない
あの人に会って
話して 触れて
その物をあの人だ と識別するためには
私は私の触覚や知識や記憶を
あの人の優しい言葉やぬくもり以上に
信じなければいけない

■「別格」
愛を疑うくらいなら
見世物小屋に売られるほうがよほどましだ
さわやかな軽蔑をこめて
細菌に触る手袋ごしの
ぬるくて荒々しい優しさに触れたとき
私は初めて
心をふりしぼって愛することができる

(以上、本文より一部抜粋)

プリズム
コレクション
落とし物
写真
別れ
横顔
光年

侶伴
硝子

壊れる
発露
砂袋
暗がり
プランクトン
時間
背もたれのない椅子
赤ん坊
腫瘍
白無垢
現代風情緒
我儘

畏怖
鎮魂
慈悲
夜半

明日
覚悟
矛盾
自由
Xmas Everyday
予感
惰性
月末
寝覚め
落花
独立
レベル0
或る日
精製
結実

無理矢理に死へと投じた人たちへ
暴力
別格
学習

目次

プリズム
コレクション
落とし物
写真
別れ
横顔
光年

侶伴
硝子〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

125
黒田まりかさんの第一詩集。くろしお出版から上梓されている。くろしお出版は言語学、日本語学、英語学などに強い出版社。有名どころでは三上章『象は鼻が長い』などを出している。表紙は出版社の紹介によるものかとも思われるが、私からすれば、これでは読者を限定してしまうように思う。抽象画の方が良かったか。一方、これはこれで詩人が一番共感して欲しいと願う読者には振り向かれないかもしれないが。さて、詩は独立した言語空間を形成しえているが、ところどころに未熟な表現が残るように思う。「パンパンに膨れ」、「虹がとぐろを」など。2014/08/19

たかしくん。

16
「まりか」さんの初詩集、楽しませていただきました。と同時に、この詩集を上梓された背景を知り、これまた胸が締めつけられる心境です。以下、僭越ですが私自身が心に残った作品のタイトルをいくつか。①「コレクション」:いきなりこれっすかぁ、強烈でした! ②「我儘」:韻や形式への配慮が行き届き、作品自体も絵画的。③「矛盾」:私の一番のお気に入り。④「独立」:奇しくも今年流行の「アドラー」みたい?!⑤「結実」:事実上のエンディングと解釈、著者だからこその説得力。(以上、不粋な感想、失礼しました…。)2014/09/04

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