出版社内容情報
2007年刊行『役割語研究の地平』の続編。教育における役割語、外国語との対照研究、キャラクタ、ツンデレと言語の関係など、近年ますます研究が進む役割語について、さまざまな角度から考察する最新論文集。
2007年にくろしお出版から刊行された『役割語研究の地平』(前書とする)の続編に当たる。『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』が公刊されて以来、役割語の概念は研究者の間でも徐々に浸透し、2007年に10人の著者による10章の論文集として前書に結実したが、その後も役割語研究は広さと深みをましつつある。
第1部「キャラクタをめぐって」は、役割語と対をなす概念「(発話)キャラクタ」をめぐる考察。
第2部「教育と役割語」は、翻訳教育、日本語教育において役割語が果たす役割について論じる。
第3部「外国語と役割語」は、外国語との対照研究。
第4部「さまざまな役割語」は、役割語のヴァリエーションについて記述・分析をし、またその歴史的な起源、発達の経緯を明らかにしようとする。
第5部「ツンデレをめぐって」は、役割語の周辺問題の一つとして、“ツンデレ”という特異なキャラクタ造形に言語がどのように貢献しているかという問題を扱う。
導入(金水 敏)
第1部 キャラクタをめぐって
1 現代日本語の役割語と発話キャラクタ(金水 敏)
2 キャラクタは文法をどこまで変えるか?(定延利之)
3 役割語のエコロジー ―他人キャラとコンテクストの関係―(山口治彦)
第2部 教育と役割語
4 韓国の教科書における役割語の役割 ―「生きた日本語」を教えるバーチャルリアリティ―(恩塚千代)
5 役割語を主題とした日韓翻訳の実践 ―課題遂行型の翻訳活動を通しての気づきとスキル向上―(鄭 惠先)
第3部 外国語と役割語
6 ウサイン・ボルトの“ I ”は、なぜ「オレ」と訳されるのか ―スポーツ放送の「役割語」―(太田眞希恵)
7 要素に注目した役割語対照研究 ―「キャラ語尾」は通言語的なりうるか―(金田純平)
8 コミック翻訳を通じた役割語の創造 ―ドイツ語史研究の視点から―(細川裕史)
第4部 さまざまな役割語
9 『風の谷のナウシカ』と役割語 ―映像翻訳論覚書―(米井力也)
10 「沖縄人」表象と役割語 ―語尾表現「さ」(「さぁ」)から考える―(本浜秀彦)
11 役割語としての「幼児語」とその周辺(岡崎友子・南侑里)
12 役割語としての片言日本語 ―西洋人キャラクタを中心に―(依田恵美)
13 大阪大学卒業論文より(2002~2010)(金水 敏他)
第5部 ツンデレをめぐって
14 役割語としてのツンデレ表現 ―「常用性」の有無に着目して―(西田隆政)
15 ツンデレ属性における言語表現の特徴 ―ツンデレ表現ケーススタディ―(冨樫純一)
【著者紹介】
1956年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学。神戸大学教養部講師、大阪女子大学学芸部講師、神戸大学文学部助教授等を経て、現在、大阪大学大学院文学研究科教授。専門は日本語史。主な著書として『時・否定と取り立て』(共著,岩波書店,2000)、『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』(岩波書店,2003)、『日本語存在表現の歴史』(ひつじ書房,2006)がある。
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