出版社内容情報
本書では、乳幼児の養育を社会全体で支える意義を歴史的知見にもとづいて考察し、21世紀前半の保育のあり方を新たに構想した。具体的には、1917年の革命から1920年代末までのロシアを対象に、「どの子にも無料の公的保育を保障する」と今日的に読み替えられる保育制度構想の変遷を当時の大会論議や公式統計などにもとづいて分析したうえで、この構想を「近代公教育」「社会主義」「公共圏」の系譜のなかに位置づけた。その際に留意したのは、「乳幼児の暮らしや養育の実態を踏まえる」「保育を左右する家族・女性・労働・人口などの問題に配慮する」「日本やフランスの保育の歩みと比較する」という三点である。(著者による紹介)
目次
序章
第1章 帝政末期のロシア社会における養育と保育をめぐる関係
第2章 保育制度構想の提起と追求(1917~1921年)―近代公教育の原理と内戦の影響
第3章 保育制度構想をめぐる矛盾とその打開の模索(1921~1924年)―飢饉と市場経済化のなかでの保育
第4章 保育制度構想の実質的な転換と農村の保育活動(1924~1928年)―開園権・有償制の拡大と簡易施設への傾斜
終章 総括と含意―保育制度構想の今日的意義
著者等紹介
村知稔三[ムラチトシミ]
岐阜県で生まれ、名古屋市などで学ぶ。埼玉県で保育実践にふれたあと、長崎市で保育者と教師の養成に従事する。その間に札幌・モスクワ・ペテルブルク・ヴャトカ・国立の各市で研修の機会を得る。2006年度から青山学院女子短期大学子ども学科で保育者養成にたずさわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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