内容説明
本書では、わが国の文化の右・左に関する象徴的二元論にかかわって、従来の指摘に見る「浄」‐「不浄」:「右」‐「左」ということでなく、「聖」‐「俗」:「左」‐「右」の二項対置がその基礎的事実であることを指摘し、そのことをいかに理解するかということに主旨をおいている。
目次
序章 本研究のねらいとその概要
第1章 わが国の文化に見る「左手」・「左足」・「左肩」の習俗
第2章 Rodney Needhamの「相補的二元論」―わが国の文化に見る「左手」の習俗の解釈にかかわって
第3章 Victor W.Turnerの所論―「世俗的な弱さが聖なる力であること」
第4章 「聖(呪術・宗教的世界)」と「俗(世俗的世界)」の間のサカサの強調・両者の対置―非日常性の強調
第5章 魔バライ・招福のための「左マワリ」の習俗
第6章 悪・凶・不吉・不浄・不運などと認識されている「左手」が呪術・宗教的な力を持つ事例
第7章 死の認識の一側面―魔バライということの側面
第8章 わが国の神祭りと葬制に見る右と左の混在について
終章 わが国の文化に見る「左」の習俗の解釈をめぐって―「聖」‐「俗」:「左」‐「右」の二項対置の認識の重要性
著者等紹介
松永和人[マツナガカズト]
1963年九州大学大学院教育学研究科博士課程(文化人類学専攻)退学。同年九州大学教育学部附属比較教育文化研究施設助手。1966~67年アメリカ・スタンフォード大学人類学科留学・同大学東亜研究委員会研究助手。1969年福岡大学人文学部助教授。1971年福岡大学人文学部教授。現在に至る。2000年博士の学位取得(人間環境学、九州大学)
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