内容説明
本書は、十七世紀末のブルジョワ的変革を出発点とするイギリス近代史の歴史的展開過程のうち、その最終局面ともいえる十九世紀末「大不況」期から第一次大戦に到る時期に注目し、世紀転換期にチェンバレンに領導された「関税改革」運動=論争の高揚と挫折を考察することにより、イギリス資本主義の変質=転型過程を照射したものである。
目次
第1章 「大不況」期におけるイギリス帝国統合運動
第2章 「大不況」期におけるイギリス関税改革=帝国連合運動
補論1 十九世紀末イギリス商業界と帝国主義―第二回帝国商業会議所会議における「通商同盟」論争
第3章 1890年代におけるイギリス帝国貿易論―「貿易は国旗に従うか」論争を巡って
第4章 エドワード期経済とチェンバレン関税改革運動
第5章 関税改革論争とイギリス綿業の対応
第6章 ロンドン・シティと「関税改革の『金融的側面』」
第7章 第一次大戦前の帝国特恵論争と「インドの立場」
補論2 1907年植民地会議と「インド的観点」―東インド協会の帝国特恵討議を中心として
第8章 1907年植民地会議と「通商同盟」論争