焼かれる前に語れ―司法解剖医が聴いた、哀しき「遺体の声」

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  • サイズ B6判/ページ数 247p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784872903171
  • NDC分類 498.94
  • Cコード C0036

内容説明

本来、死者に「人権」はない。あるのは「権利」である。その権利を尊び行使することは、すなわち正しい死因究明を施すことにほかならない。だが、検死体制、責任の所在、施設、人員、予算、法整備…。日本はそこに至るシステムがあまりにずさんである。死因を特定することは、生命保険や損害賠償など死者の最後の法的権利に関わる情報であると同時に、公衆衛生や類似事故の再発防止という意味でも重要だということを誰もが認識すべき時期にきている。本当の死因は何なのか―。声なきまま葬られていく現実を通して日本の死因究明のあり方に警鐘を鳴らす。

目次

第1章 あまりにお粗末な「死因究明」の現状
第2章 本当の死因はどこに?―千葉大学・CT検視への取り組み
第3章 遺族の思い、法医学者の使命
第4章 見逃される保険金・薬毒物殺人
第5章 もの言えぬ乳幼児の死因解明と「法歯学」
第6章 さまざまな「死」を考察する
第7章 医療事故死はどう扱われていくのか
第8章 日本の「死因統計」は信用できるか
補稿 「ウィーン解剖事情」見聞録
鼎談 「死因究明法案」提出奮闘記

著者等紹介

岩瀬博太郎[イワセヒロタロウ]
千葉大学大学院教授。解剖医。東京大学医学部卒業。同法医学教室を経て、千葉大学大学院医学研究院法医学教室教授。一見、穏やかながら突然みせる行動力で、千葉大学法医学教室を先進国水準にすべく奮闘している。1967年、千葉県木更津市生まれ

柳原三佳[ヤナギハラミカ]
ノンフィクション作家。バイク雑誌編集記者を経てフリーに。交通事故、司法問題などをテーマに各誌に執筆。講演、TV出演もこなす。『週刊朝日』に連載した交通事故の告発ルポは反響を呼んだ。1963年、京都府京都市生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kinkin

89
日本は司法解剖の後進国ということを知った。日本全体でも司法解剖ができる人材と環境のある県も少ないし予算も驚くほど少ない。日本の高齢化で一人暮らしがどんどん増える中で、孤独死の方の死因がはっきりしないまま終わってしまうことだろう。2024/07/18

SOHSA

24
《購入本》平成19年発行 日本の検視制度、法医学教室の現状等死因究明システムを巡る問題点を鋭く取り上げた良書。当時、岩瀬先生が投じた一石は大きな波紋となって広がり、最終的には法令の新設にまで繋がった。現在では本書発行当時に比べて改善された点は多いのだろうが、それでもおそらくは十分とは言えないだろう。国を動かし、既存の行政システムを変えることの困難さを改めて知った。日本の死因究明システムが一日も早くオーストリア・ウィーンに劣らないものになることを願ってやまない。2015/08/30

15
思っていた以上に死因解明することの難しさを痛感した。推理小説では大抵、どんな殺人事件も解決できるが、現実はこうも違うものなのか。2013/09/19

mimm

7
タイトルから、犯罪被害者の遺体の声なき声のノンフィクションかなぁと思ったら、甘かった。2007年時点の日本の状況なので、今は変化があってほしい、変死体の死因究明システム。ほとんどが正確な死因を判明してもらえないまま焼き場へ…。それは完全犯罪の手助けになってしまうことも、って怖っ。 ラノベで司法解剖率の低さを取り上げていたの、最近読んだの思いだしました。あれ?やっぱり改善されてない?とりあえず、実情はドラマの世界とは全くかけ離れておりました。2014/11/23

carl

6
勉強になりました。もう少しルポに近い感じかと勝手に思い込んでしまってた。 2016/10/03

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