内容説明
本来、死者に「人権」はない。あるのは「権利」である。その権利を尊び行使することは、すなわち正しい死因究明を施すことにほかならない。だが、検死体制、責任の所在、施設、人員、予算、法整備…。日本はそこに至るシステムがあまりにずさんである。死因を特定することは、生命保険や損害賠償など死者の最後の法的権利に関わる情報であると同時に、公衆衛生や類似事故の再発防止という意味でも重要だということを誰もが認識すべき時期にきている。本当の死因は何なのか―。声なきまま葬られていく現実を通して日本の死因究明のあり方に警鐘を鳴らす。
目次
第1章 あまりにお粗末な「死因究明」の現状
第2章 本当の死因はどこに?―千葉大学・CT検視への取り組み
第3章 遺族の思い、法医学者の使命
第4章 見逃される保険金・薬毒物殺人
第5章 もの言えぬ乳幼児の死因解明と「法歯学」
第6章 さまざまな「死」を考察する
第7章 医療事故死はどう扱われていくのか
第8章 日本の「死因統計」は信用できるか
補稿 「ウィーン解剖事情」見聞録
鼎談 「死因究明法案」提出奮闘記
著者等紹介
岩瀬博太郎[イワセヒロタロウ]
千葉大学大学院教授。解剖医。東京大学医学部卒業。同法医学教室を経て、千葉大学大学院医学研究院法医学教室教授。一見、穏やかながら突然みせる行動力で、千葉大学法医学教室を先進国水準にすべく奮闘している。1967年、千葉県木更津市生まれ
柳原三佳[ヤナギハラミカ]
ノンフィクション作家。バイク雑誌編集記者を経てフリーに。交通事故、司法問題などをテーマに各誌に執筆。講演、TV出演もこなす。『週刊朝日』に連載した交通事故の告発ルポは反響を呼んだ。1963年、京都府京都市生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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