出版社内容情報
1992年の設立以来、建築はもとより、都市リサーチ、フィールド・ワーク、ワークショップ、展覧会、教育などのさまざまな場面で創造の手法を展開してきたアトリエ・ワン。かれらはそうした横断的取り組みによって豊かなヴォキャブラリーと思考を紡ぎ出し、建築・都市を捉え、実践するためのフレームを培ってきた。
本書では、そのようなフレームの根底にある思考やそこから生まれる仮説を拾い集める。いきいきとした空間をつくりあげるための、アトリエ・ワンの思考のスクラップ・ブック。bilingual。
目次
建築の経験、空間の響き―序にかえて
お面
虫採り
動物の模型
イヌとイス
掃除
スポーツのコート
六本木交差点
居候
乗り換え
治具
建物の世代
車の停め方
ビルの知性
東京のモニュメント
郊外の郊内化
振る舞いのかたち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アニッチャー
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建築家ユニットであるアトリエ・ワンが綴る都市論エッセイ。「建築」と聞くと美術館のようなモニュメンタルなものを連想してしまいがちだが、本書で扱われるのはどれも何気ない日常的風景ばかり。住宅の前に停められた車や、軒下の猫、交通機関の乗り換え、等々。それらが建築家ならではの観点から敷衍されていく。都市の地表は建築で埋め尽くされている。だからこそ、建築的知性を学ぶことは生活とも直結することなのかもしれない。そういう気づきが得られた。身近なことから建築を考えるきっかけを与えてくれる一冊。 2014/06/15
gurugurupa
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とにかくなんでもかんでも建築に還元するという姿勢には驚いた。鋭い洞察力で観察した対象から抽出されたことは、選ばれた言葉を伴って読み手の想像力を掻き立てる。また本自体のデザインも素晴らしい。
JUNTA
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考えるきっかけのスクラップ・ブック。 本の中にそんな言葉がでてくるが、まさにその通りだった。 短編集のようになっていて、とても読みやすい。 日常的なことの観察、分析から、一気に建築的な話に落とし込んでいく。 掃除の話から、一気に空間認識やアフォーダンスの話になったりする。 そこにジェットコースターのような爽快感を感じる。とても気持ちがいい。 2010/03/01
sho
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都市に置ける些細な点をピックアップし建築言語に置き換えている視点には驚愕。2010/02/09
masshi
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日々の生活から見えてくる様々な建築的課題について非常に丁寧なタッチで解説された見事な1冊。民族のお面やぬいぐるみから新しい建築のあるべき姿が浮かび上がり、駅の乗り換え階段から空間の繋がりにおける新たな提案が生まれる。普段なにげなく目にするものを建築的視点から考えることにより、建築や都市の今までになかった形を見出すことができる。自らの記憶にあるモノや街の風景に照らし合わせながら読むと非常に面白い。2020/04/24