現代タイの社会的排除―教育、医療、社会参加の機会を求めて

櫻井 義秀/道信 良子【編著】

梓出版社（2010/03発売）

• サイズ A5判／ページ数 331,／高さ 22cm
• 商品コード 9784872622300
• NDC分類 361.8
• Cコード C3036

内容説明

急速な経済発展を遂げるタイ社会。「社会的排除」と「包摂」の鍵概念から現代タイ社会研究の新境地を開く。少数民族の生活実態。ストリート・チルドレン、ゴミ収集人など社会的弱者に強いられる新しい貧困問題。ラオス・ミャンマーからの移住女性・出稼ぎ労働者問題。農村振興策（文化ツーリズム）。ＮＧＯ・地域行政など公共機関の役割。タイの継続型高等教育。日系企業の製造現場と保健医療政策の課題とは…現地に長期密着して調査した資料から新しい事例を提示。タイ社会の周辺に生きる人びとの生活を読み解く。

目次

第１部　社会的排除と包摂の視点（タイ社会における排除の構造と社会的包摂；タイにおける医療・教育・社会参加の機会の現状と課題）
第２部　個人・家族による自力更生（ラオスの移動労働者―世界労働市場と移動労働者の生活戦略；タイの国際結婚定住者―上昇婚戦略としての国際結婚）
第３部　地域社会と観光政策による包摂（北タイの山地民―エコツーリズム；東北タイの農村女性―文化ツーリズム）
第４部　ＮＧＯ地域行政による包摂（ストリート・チルドレン―行政・ＮＧＯのサポート；ゴミ収集人―包括的ごみ管理体制の構築）
第５部　公共的社会組織による包摂（グローバル企業による公衆衛生―企業の安全衛生管理責任という観点から；タイにおける継続型高等教育の現状と評価）

著者等紹介

櫻井義秀［サクライヨシヒデ］
北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。博士（文学）。現在、北海道大学大学院文学研究科教授

道信良子［ミチノブリョウコ］
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程後期単位修得満期修了。博士（社会科学）。現在、札幌医科大学医療人育成センター教養教育研究部門准教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[isao_key]

急速な発展を遂げているタイで、社会的弱者や低所得者、少数民族の問題についてさまざまな面にテーマを当てた研究所。全部で10章構成。執筆者の多くが、北海道大学大学院文学研究科の院生である。中でもタイ人学生による調査報告は、かなり内部にまで切り込んでいて大変参考になった。タイの国際結婚定住者、ストリート・チルドレン、ゴミ収集人など、長くタイに滞在していても知る機会がない事例についてのレポートは、いやがおうにもタイ社会の格差をまざまざと実感させてくれる。10章のタイの大学院進学についての報告はなるほどと思えた。

2013/03/09