内容説明
明治三六年、夏目漱石の教え子・一高生の藤村操が日光華厳の滝に投身自殺して空前の自殺ブームを巻き起こして以来、一九八六年の岡田有希子現象、そしていじめ自殺に至るまで。自殺者たちが死をもって提示した「生への窮極の問い」を、近代という時間のなかで追究し、自殺の思想領域を切り拓く類例なき力篇。今を生きるすべての人に。
目次
第1章 華厳の滝・厳頭の「自己」―藤村操の投身自殺を中心に
第2章 複製される自殺―三原山連鎖自殺を軸に
第3章 戦争と自殺―死のう団事件を始まりとして
第4章 戦後への自殺の閃光―原口統三、「光クラブ」山崎晃嗣ほか
第5章 闘争の季節の自殺―岸上大作、奥浩平、斉藤和ほか
第6章 不たしかな「私」たちの自死―岡田有希子現象、大雪山SOS事件、いじめ自殺ほか
著者等紹介
朝倉喬司[アサクラキョウジ]
1943年岐阜県生まれ。早稲田大学文学部中退。『週刊現代』記者を経て、ノンフィクション作家となる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
9
「不惜身命」とは、身命を惜しまず弘教するとの意。それを字面のみ捉え、「死なう、ということだ」と解釈し、自死に積極的価値を与える「死なう団」。明らかに邪義だが、一部の青年の心を掴んだ理由は、戦時下の高揚と刹那主義だろう。2019/06/14
澤水月
4
「人生不可解」の華厳滝投身自殺者、藤村操が夏目漱石の生徒であり反抗的であったと寡聞にして初めて知る。朝倉氏自身が革マルに属していた事があるなど本論より脱線部分の方が面白いかもしれない。他、死のう団、光クラブ、岡田有希子、大雪山SOS事件、東電OL事件など。つくづく朝倉氏の死が惜しまれる2012/05/12
あられ
0
いつの世にも自殺はある。その自殺を分析した本。種々様々、たくさんの事例があがっており、労作だったのだと感じる。東電OL、結果としては殺されたけれど、早晩、自殺していたかもしれない事例が特に興味深かった。 2012/06/29
我門隆星
0
フツーのエッセー、ツマンネ。ななめ読み。……ななめ読みもキツイので、投げたw。2012/01/20