内容説明
地獄絵や浮世絵、仏教建築などの古典美術から、現代美術の池田満寿夫や日本画の加山又造、人形の四谷シモン、舞踏の土方巽、状況劇場の唐十郎など、日本の芸術について澁澤が書いたエッセイをすべて収録した集成。「おのれの城に閉じこもり、小さな壁の孔から、自分だけの光輝く現実を眺めている、徹底的に反時代的な画家」だけに興味を抱いた著者の世界観をたどる。
目次
第1章 古典美術の世界(近世美術;中世美術 ほか)
第2章 現代美術の世界(銅版画―加納光於と山本六三;版画と彫刻―池田満寿夫と飯田善国 ほか)
第3章 現代舞踏の世界(土方巽の世界;土方巽の仲間たち)
第4章 演劇と芸能の世界(状況劇場と唐十郎;サドと三島由紀夫 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
47
酒井忠康「文豪のスケッチブック」で知る。タイトルからして難解な本かと思ったが、これが実に面白かった。澁澤龍彦が様々なところで書いた日本の芸術に関するエッセイをまとめたもの。古典から現代芸術、舞踏、舞台と話は多岐に渡る。古典を見ながら西洋絵画とも比較しつつ、そのエロティシズムの違いを論じたりする。現代芸術では、「おのれの城に閉じこもり、小さな壁の孔から、自分だけの光輝く現実を眺めている、徹底的に反時代的な画家」だけに興味を示している。最後はストリップ論と浅草の「花屋敷」に見る「怨恨の血」というのもいい。2025/08/15
i-miya
29
2010.06.03 (解説・谷川○(さんずいに屋))◎マニエリスムとエートス。「洋学系」の鬼才、澁澤龍彦。アンドレ・ブルトン『魔術的芸術』(1957.1997(翻訳))。『マニエリスト抱一(ほういつ)』線の芸術。微妙で繊細、優美で技巧的、神経症的。蕭白、芦雪、抱一、其一、若冲。宇野亜喜良。山本六三。加山又造。第1章 古典美術の世界。 ◎宗達の犬。 近頃の犬は・・・。近頃の若者は・・・。西洋小型犬。宗達『狗子図』の黒犬、が理想的犬のイメージ。2010/06/05
のの
3
美の判断に「どうやら時というのが曲者らしいのだ。」というのが確かにな、と。時間からすると、澁澤が評しているときに、第二部は全員同時代の人だったのだろうけど、今の私にとって生きてる人(唐等)ととっくに亡くなった人(三島・土方等)が混じるので、その芸術性の見方がズレて不思議な感じがする。2010/04/26
fuchsia
2
渋澤氏の「日本美術には門外漢で・・」的な謙遜が奥ゆかしいです。2009/09/06
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