内容説明
漱石は高い倫理性の故に人間の深い罪と格闘し、その文学は正直に、正確に人間を描いたが、それは絶望的なものであった。「死か狂気か宗教か」の選択の前で迷走し、ついには絶対者と決別した漱石に救いはあったのか?近代日本文学に流れる人間観を鋭い福音の光で照らす画期的な文芸評論第1弾。
目次
プロローグ(文学の世代;聖書との出会い)
第1部 漱石の迷走と福音(人間の本質を描いた漱石;漱石文学の二面性;自然主義文学の発展;自然主義文学でも書けなかったもの;宗教に救済はあるか;リアリズムとヒューマニズム;漱石のごまかし;漱石の求道;日本人の神観と漱石 ほか)