内容説明
女性脚本家の草分けとしてかつて男社会といわれた映画界へ進出。『また逢う日まで』『浮雲』『キクとイサム』など数々の傑作を手がけた名シナリオライターの生涯。
目次
宝の山に足を踏み入れて
京橋生まれで神田育ち
劇作家へのプロローグ
目白台から駿河台へ
築地の舞台に立ったころ
新劇と新派で劇壇デビュー
日本が戦争へ突き進むなかで
最前線ビルマへ従軍の旅
従軍記出版と蒙古への旅
東京大空襲と疎開生活〔ほか〕
著者等紹介
加藤馨[カトウカオル]
1928年(昭和3)東京生まれ。早稲田大学政経学部卒、朝日新聞社に入り、新聞編集を受け持つ整理部で約20年過ごす。有楽町マリオンの建設に関わったあと朝日新聞記念会館支配人。退職後図書館ボランティア。2002年から水木洋子市民サポーターの会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
3
キネ旬で5回ベスト1作品を脚本した日本映画黄金時代の名脚本家です。小津が、「浮雲」を観て、水木に「情事を書きなよ」と勧めたそうです。浮雲の情念は、成瀬に乗りうつり「成瀬の作風が変わった」と言わしめたそうです。また今井正の「キクとイサム」では今井が推す頭がよくて寂しそうな「キク役」を蹴って、高橋恵美子を選んで、大成功をおさめます。脚本家の力と凄み、50年代日本映画の厚みを感じます。トリビアとしては八千草薫の亡夫谷口千吉の初婚相手で6ヵ月で離婚しています。市川に水木洋子邸があります。機会があれば訪れたいです。2015/03/28
Gen Kato
2
『また逢う日まで』『ひめゆりの塔』『おかあさん』『あにいもうと』『浮雲』『山の音』『驟雨』を書いた脚本家の生涯と業績。日本映画ファンとして名前は記憶していても、どう生きて亡くなられたかはまるで知らなかった。『浮雲』のラストの改変も水木氏の判断だったとは。後半生の過ごされ方にもいろいろ身につまされるものがある。貴重な労作。2019/01/28
まり☆こうじ
0
今井正とのコンビ作がやっぱり凄いんだけど、『また逢う日まで』の今井正からの脚本修正指示の資料など非常に興味深い。八住利雄の改訂版が生硬だとして再改定させているのだ。2015/04/20