感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HODGE
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結婚が、ほとんど企業のM&Aのように扱われ、登場人物のほとんどがその「工作」に参入──初老の「株主」(婚資提供者)、中年の「経営者」(親権者)、結婚適齢期の「現場の若者たち」のそれぞれの意識の違いとそれぞれの思惑が対立構造を生み出し、そこでは「対等な合併」だけではなく、「救済のための合併」、「譲渡」、そして「敵対的買収」までも画策される。しかも肝心の「企業情報」(人物像)はジェイムズならではの曖昧で仄めかしに終始、さらに「偽情報」(嘘)も飛び交う。後期三作よりも厄介な作品だったが、それがまた、たまらない。2015/08/30