出版社内容情報
1922年3月3日京都岡崎公会堂での「全国水平社創立大会」で採択された「水平社宣言」。奈良県の部落青年たちによって結成された「燕会」に始まる自主的な運動は、幅広い協力者を得て大きなうねりへと変わっていった。本書は日本思想史、近現代部落史研究に長年取り組んできた著者が、これまでの研究成果を踏まえ、新しい視点から「水平社宣言」の表現と思想、宣言に至る過程とその後の展開に詳細な検討を加え、明治期からの社会的状況、宣言の時代性を考察するとともに、移民と差別、人種主義、ジェンダー的観点からの性差別批判、それらが交差するインターセクショナルな視点を交え、反差別と解放の思想をあらためて紡ぎなおした、渾身の著作です。明治期から現代に至る大衆運動を考える際にも重要な、アクチュアリティを具えた必読書。
【目次】
はじめに
第一章 『よき日の為めに』と「水平社宣言」の思想
第二章 美作血税一揆と人種主義
第三章 政治空間の開拓─自由民権運動、大逆事件、米騒動、『明治の光』
第四章 大正期〈生〉の思想と生政治
第五章 「産業的殉教者」の世界
第六章 徹底的糾弾
第七章 ジェンダーとサバルタン
第八章 移民
第九章 聖‐賤の系譜学─歴史・民俗・芸能
第十章 天皇制、人種主義、等価性
第十一章 終章
あとがき
初出一覧
索引



