内容説明
目利きだけどお酒好きでなまけ者の魚屋、熊さん。ある朝、浜辺で大金の入った財布を拾ってしまいます。これだけあれば遊んで暮らせると有頂天に。早速、仲間を集めて大宴会。ところが、朝になって起きてみると財布がありません。「そんな財布は見たことないよ。おまえさん、夢でも見たんだろう」と、おかみさん。いったい何が起きたのでしょう?
著者等紹介
川端誠[カワバタマコト]
1952年、新潟県上越市生まれ。絵本作家。1982年デビュー作『鳥の島』で第5回絵本にっぽん賞を受賞。1994年に発表した「落語絵本」シリーズ(クレヨンハウス)でも大きな反響を呼び、「落語絵本」の草分けとして人気を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆっき
26
有名な人情噺の「芝浜」が上下巻の絵本に。酒飲みの熊さんが一体どうなるのか。上下巻で変わる熊さんの描写がお見事です。感想は下巻にて。2025/01/10
gtn
23
女房は賢女。まず、亭主が拾った五十両を、即大家に預ける。江戸時代、大金を拾得し、懐に入れた場合、死罪もあったという。ましてや、亭主は浮かれて長屋の住民を招き、大宴会をする始末。当然金の出所を疑われる。ここで、女房の心理だが、亭主を全て夢だと信じ込ませたのは、あぶく銭は身を亡ぼすという高尚なものではなく、犯罪とならぬよう、リセットさせるためであったのでは。2025/06/01
あおい
14
酒に溺れて仕事をしない熊さんは嫁に尻を叩かれ仕事に出かけたところ大金が入った財布を拾う…しっかり者の嫁とちょっととぼけた夫。落語絵本初の上下巻。下巻で熊さんどうなっているのか。2025/03/17
サト
6
『芝浜(しばはま)』は著者の落語絵本シリーズで初の2冊構成ですが、長さを感じさせません。 お酒に溺れてだらしない冒頭から、本来の真っ直ぐさや人柄の良さを発揮していく変わり様が気持ち良いです。 会話の妙もありますが、上巻では主人が朝日を見て改心する見開きは、読んでるこちらも洗われるような絵です。 著者の絵本の印象は、大きな絵で訴えかけるよりも、小道具の細かい描写が丁寧で魅せてくる感じだったので意外さもありました。 女房のついた嘘が結果的にうまくいきましたが、ついた嘘がどうなるか?不安を残しつつ下巻へ進みます2025/03/03
遠い日
5
落語絵本シリーズ。ご自身でも言及されていますが、絵本にすれば珍しく上下巻と二分冊での刊行です。「芝浜」は長い噺なので、上巻は主人公の熊さんが酒をなかなかやめられず、仕事もしなくなって久しい折り、大金を拾います。その金で遊び暮らそうという熊さんの思惑を、見事に払拭する芝居を打つおかみさんの涙ぐましい芝居が見もの。心を鬼にして亭主の性根を叩き直す。熊さんもそれに応えるように目を覚まし、しっかりと仕事をするようになる。ここまでが上巻の噺。2025/02/27