感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
32
実に渋い仕事と唸る。話題となった発言や事象・著作について、時間を置いた時点から振り返りその発信者たちに取材を試みる。鮮烈なニュースが並ぶわけではないので「相対的に」そう興趣を惹く内容ではない。だが、こちらの襟を正すかくじつな良心とたしかな構成力、コンパクトな記事としてまとめる手堅さが頼もしい。さまざまな取材対象を盛り込んでいるにもかかわらず濁った印象を感じさせず、この著者の問題意識の「ブレなさ」「一貫性」もビシッとスジを通したものである。ニュースのセンセーショナリズムを否定はしないが、この渋さは「買い」だ2025/01/27
ドラマチックガス
13
北海道新聞の連載をまとめた本。道民なのに道新をとっていないマイノリティとしては全く知らない状態で読めた。印象的な「言葉」と、その発言者へのインタビュー。「希望は戦争」の赤木さんから「戦争したくなくてふるえる」の高塚さん、チッソ労組、あしなが育英会創始者、そして原発、沖縄関係の人々。どれも素敵な記事だった。そんななか一番揺さぶられたのは、あのミスター泡沫候補外山恒一さんの「少数派にとって選挙ほどばかばかしいものはない。多数決で決めれば、多数派が勝つに決まってる」。ここから「投票なんて行くな」につながる。2024/10/03