内容説明
家庭や社会からの孤立が深まっていくなか、それでも久木と凛子は逢瀬を重ねつづける。逢うごとに、体を重ねるごとに、ふたりの愛と性の密度は高まっていく。やがて訪れる「この愛もいずれは壊れるかもしれない」という不安と怖れ。ふたりの愛を永久不変のなかに閉じ込めるために、彼らが選んだ道はひとつしかなかった…。空前絶後のベストセラーとなった、至高の恋愛小説。
著者等紹介
渡辺淳一[ワタナベジュンイチ]
1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で第六十三回直木賞、1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第十四回吉川英治文学賞を受賞。2003年に第五十一回菊池寛賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美紀ちゃん
62
一番幸せな時に死ぬ。もう充分と思う?逃げの気持ちもあるのでは?私は、長生きしたいし、幸せならもっと幸せになりたいと願う。堂々と長生きしたい。でも、ピッタリの人に廻り合えた事は羨ましい。燃え尽きてしまうような恋愛に憧れる。渡辺淳一先生の、ご冥福をお祈りいたします。2014/05/16
Lumi
23
上巻からずっと久木の勝手さにイライラした。妻と娘が可哀想。でも終盤に近づくにつれて2人の言い分に確かにと思ってしまう所があった。何時までも最高に愛し合うというのは無理で、出来るかもしれないけど絶対の保証はない。そういうものなのかな。なんか悲しい。そんな事ないと思いたい。映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』を思い出した。似てる所があると思う。私も女だけど、女ってこんなに怖いというか男の人を引きずり込むものなのか。男女の事はやっぱり分からない。この小説はもう読みたくないけど数年後読めば感じ方が変わりそう。2020/08/29
Suguru
18
結婚した後に、お互いの事を心底好きになれる人が現れてしまったら、死ぬしかなくなるのかぁ。 若い内だったら、何とかやり直せるかもしれないけど、お互い良い歳になってると、そうなってしまうのかな。 とても考えさせられる内容の本でした。2020/09/06
桜もち 太郎
17
ふぅ、重かった。そしてサブいぼが出そうになった。想像もつかない世界だからだ。作品発表当時、センセーショナルな内容に社会現象を起こしたらしい。妻と娘を捨てた久木、夫を捨てた凛子の不倫の物語。あまりにも愛にのめり込みすぎた二人の一年半、終焉に向かっていくという重さに耐えられない。作品の中で「時分の花」という言葉が出てくる。能の言葉らしいが、愛にも絶頂がある。その絶頂の先にあるものは何か、老いであったり、惰性であったり。生と死は紙一重だ。彼らは絶頂で死ぬことを選んだ。自分的には美しさの欠片も感じられなかった。2022/07/24
金吾
16
純愛なのか否なのかはわかりませんが、永遠のために終わるということをすごく考えさせられました。ラストが印象深い作品です。2020/12/10