出版社内容情報
児童虐待が疑われるケースでは、親と児童相談所がしばしば対立する。対立は両者が疲弊するばかりでなく、児童の最善の利益の観点からも問題である。そのような状況をもたらす仕組みについて社会福祉学の立場から考察する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海星梨
5
児童虐待における児童相談所の一時保護という介入を、虐待する親がどう感じているかという立場から批判していく。一方的に親の代弁をするのでなしに、そこを理解の足掛かりとして法的制度的に考え、それに対する対策が講じられる。良書。対談も本書の構成を踏まえてあり、感動した。ただ、既存のリソースで対応するのでは、やはり、法の下で運営される福祉という粋を出られていないのでは。警察も司法も「忙しい」には変わりない。別の公的機関を立ちあげるほどの、抜本的な改革が必要ではと思う。2019/12/09
マッサン
0
児相が児童虐待問題に追われて、本来の福祉モデルに立つことが難しくなっているという批判の書。親が親であることから撤退していく様子は胸が痛くなった。児童福祉で働く上で、親や対象者への敬意は忘れてはいけないし、専門家同士のネットワークで除外されてしまう親達の物語にも真摯に耳を傾ける必要があるなと思った。2024/06/27
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