内容説明
近代日本の様々な課題を解決するために利用され育まれた心情―自然愛。私たちの現在はどのような教育のもとにその養成がなされ続けられてきたのか。
目次
序章 自然愛に関する教育論の歴史を検討する意味
第1章 近代化実現のための自然愛に関する教育論の誕生―明治期の理科教育界における自然愛の議論
第2章 瓦解する定型―自然愛に関する教育論の多様化がもたらしたもの
第3章 機能不全に陥る自然愛に関する教育論―戦争・近代化・エコロジー
第4章 国民化に従事する自然愛に関する教育論―近代日本の地理教育界における自然愛の議論
第5章 日本人自然愛説の教育がめざしたもの―国語教育界における自然愛に関する教育論
終章 近代日本の自然愛に関する教育論とはいかなる存在であったか
著者等紹介
林潤平[ハヤシジュンペイ]
2010年3月慶應義塾大学文学部人文社会学科卒業。2013年3月京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻修了。2015年4月日本学術振興会特別研究員DC2。2017年3月京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。現在、京都市学校歴史博物館学芸員。立命館大学・京都先端科学大学・近畿大学・神戸女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
1
博士論文を書籍化したものという。 日本は自然と距離が近く、日本人は自然を慈しんできたと言われる。しかし、本当にそうなのか。また、いったいいつ頃からそうした主張がなされるようになったのか。そうした関心のもと、明治以降の学校教育における言説を分析したのが本書である。理科教育をメインに、地理や国語も扱われている。 コンセプトはたいへん魅力的だ。しかし、どこまで実証的に調査できているかには、やや物足りない気持ちが残る。とりあげられている分野も、かなり限定的であり、説得力がある、というほどには感じなかった。2022/05/27