内容説明
日本を代表する思想家の伝説の講義。死ぬときにのこす価値のあるものは何か。古典が伝える先が見えない時代を生き抜くヒント。
目次
はじめに―100年以上、人の心を震わせ続ける言葉『後世への最大遺物』内村鑑三 現代語訳
1894年7月16日 夜7時 1日目 のこすべきものはまずお金、次に事業である
1894年7月17日 朝8時 2日目 だれもがのこせる唯一のものがある
先が見えない時代をどう生きるか―『後世への最大遺物』を今読む人へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
114
「私に 50年の命をくれたこの美しい地球、この美しい国、この楽しい社会、私たちを育ててくれた山、河こうしたものに対して、何も遺さずには死んでしまいたくはない」なんて美しい言葉だろうか。これに出会えただけで本書を開いて良かった。前半は内村鑑三が大学生に向けて行った講演記録、後半は佐藤優氏の解説。後半は正直「週刊佐藤優」のざっと読みで十分だが、かつて教科書で名前をチラ見しただけでよく知らなかった内村鑑三の人生や言葉を知れてさらなる興味が湧いた。内村が遺した、お金、事業、教育、生き方、私は何を遺せるだろう。2024/05/11
壱萬参仟縁
54
E図書館。佐藤先生の後半の解説もよくわかる。やはり、ヴーカな時代に、果敢に生きる勇気を喚起してくれる本と思う。文学の力の大きさも、文学部出身なので心強い! 内村先生の弱点は、ジェンダー平等、人種差別、地域偏見、帝国主義肯定という(142ページ)。今こそ再分配! というのもよろしくおねがいします!!2024/03/21
優希
49
明治27年に行われた内村鑑三の講演を佐藤優氏が書いたものになります。現代をどう生きるかが分かりました。後半の佐藤氏の話も面白かったです。丁寧に「今を生きる意味」が語られるので、中高生に読んで欲しいと思いました。2022/09/05
いっち
30
岩波文庫版の『後世への最大遺物』を読んだ人は、本書を読まなくてよさそう。「後世への最大遺物」現代語訳と、佐藤優さん解説の二部構成。岩波文庫版だけで内容は理解できるし、佐藤さんの解説に、特段目当たらしさはない。ただ、佐藤さんの解説で、第二次世界大戦で爆撃が行われない土地の話は面白かった。軽井沢と箱根は、中立国の大使館等が避難してた土地だったので、絶対に爆撃が行われないことになってたらしい。もし日本で戦争が起こったら、中立国の避難先を確認すべきだし、軽井沢や箱根に逃げ込むのはあり。歴史を学ぶべきだと思った。2024/10/04
ta_chanko
18
まず第一に「お金」、次に「事業」、それもなければ「思想」を遺すことが大切。今の時代に足りないのは「Life」、つまり元気が足りない。まるで現代について述べているかのよう。内村は強制されたキリスト教を終生棄てることなく、内面を掘り下げて生涯の信念とした。内村鑑三と佐藤優の主張から、先行きの見えない時代を生き抜くためのヒントが得られた。2021/07/15