感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
69
【女が郷里を出てゆくには、出て行くだけの理由がある】上野千鶴子と『ここは退屈迎えに来て』でデビューした山内マリコ、聞き手の藤井聡子も含めて全員が富山出身で、出版社も富山。2人の文章と対談、富山にゆかりのある14人の女性のインタビューを収録。上野は、<家族から逃れるただひとつの道は、進学か結婚で家を出ることだけだった。/わたしの同世代には親の家から出たいばかりに、男をスプリングボードにして早まった結婚をした娘たちが何人もいる。私は進学を理由にして家を出た。/家を出たわたしは二度とふたたび戻らなかった>と。⇒2025/11/28
にたいも
13
地方の若年女性が流出超なのは、女性が犠牲にならない社会風土を作らなければ解決しないという提言。/上野さんの解説にははぁと唸り、山内さんの実体験にすげーわかるすげーわかると頷く。上野千鶴子さんと山内マリコさんの執筆分量は全体の3分の1程度なのだが、3章の上野さんと山内さんの対談が、2章の13件の様々な世代の女性たちの半生聞き書きの事例分析になっていて、それが大変興味深い。上野ゼミ学生「どんな選択をしたかが娘に影響を与えるのではなくて、その選択を母親自身が納得してやったかどうかが娘に大きな影響を与える」2025/09/06
おさと
9
「ゆくゆくは徳島に帰って仕事をするために上京したんです」との言葉に「徳島って、帰りたいって思えるほど素敵なところなんだー」と思ったことがきっかけで、縁もゆかりもない土地へ引っ越してきた私。ともみさんの「流出を止めるより、戻ってきたいと思わせる施策を」に納得しかない。2025/09/21
Yuri
9
「はじめに」にあったように、富山だけに限らず多くの地方に当てはまる話。もちろん地域によって少しずつ差はあるだろうが、ローカル情報網や独特の繋がりなど似てると思うところはたくさん。様々な年代の方の話が書かれており、大変さに共感するところもあれば、そんな考え方もあるんだと驚くところも。では自分はどうだったのか、これからどうしていきたいのかと考えた時に答えは出ない。「消滅可能性都市」と思うと他人事ではないのだから。女性だけでなく社会に課せられた課題、興味深く読了。2025/08/02
てくてく
8
人口流出地域にとっては女性が都会に出ていくことを望ましくないものととらえて対策をとっているが、その女性たちの人生を聞き取ったもの。地方といっても富山県限定なので、他の地方でも同様かどうかはわからないが、多世代同居で共働き率が高い地域ならではの問題を聞き取っていて参考になった。また、地方+どこでもよそ者の転勤族に育った女性の例があって、彼女の語りは2代続く転勤族育ちの私には非常にわかりやすいものだった。進学・就職・結婚を契機とする県をまたいだ移動は避けられないので、それで選ばれる地域になるしかない。2025/11/14




