内容説明
トルストイが衝撃を受けた、ブッダの寓話。家路を急ぐ旅人が、ウス暗い広野の道に点々と散らばっている白いモノに気づき、思わず立ち止まった。何だろうと旅人は、その白いモノを一個拾って驚いた。人間の白骨ではないか…。絶望の危機に、救いあり。振り返れば、人生にも山あり、谷ありで、数々のドラマがあったであろうと思われます。それらの一切は、人間に生まれた唯一の目的を果たす道程であり、ムダは一つもないのだよ、と、ブッダは、優しく見守ってくだされています。
目次
第1章 私とは、どんな者か(「私とは、どんな者か」を、正しく知らねば、幸せにはなれない)
第2章 ブッダのたとえは、何を物語っているか(無人の広野を独り行く旅人;広野に散らばる白骨;追いかけてくるトラ;断崖上の松の木;細い藤ヅル;窮地に立った旅人;白と黒のネズミ;三匹の毒竜 ほか)
第3章 絶望の闇を破る光あり(細い藤ヅルにぶら下がりながら、ハチミツに心を奪われている旅人を救うには)
後記 ブッダとは、どんな方であったのか
著者等紹介
高森顕徹[タカモリケンテツ]
昭和4年、富山県生まれ。龍谷大学卒業。日本各地や海外で講演、執筆など
高森光晴[タカモリミツハル]
昭和28年、富山県生まれ。浄土真宗学院学長。国内、海外で、講演多数
大見滋紀[オオミシゲキ]
昭和49年、東京都生まれ。浄土真宗学院上席講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
d3
43
本書は釈迦の語った説法を通じ、生きることの本質について強烈な印象を残してくれる。 旅人は無人の荒野で虎と出会う。人はみなこの旅人だと言う。 死は突然にやってくることを誰もが知っていると言いつつ、自分の身に明日降りかかるとは考えていない。しかし、死は前からやってくるものではなく、いつも後ろから忍び寄ってくるものなのだ。 「人身受難し、今已に浮く」 人として生命を受けたことが、すでに有り難いことだ。生きる尊さを思えば、多くの悩みから解放される糸口を見いだせるのではないだろうか。2023/09/05
reading
21
無人の広野で虎に出会う旅人の例えはなるほどと思った。浦島太郎の話も興味深かった。タイトルの人生の目的については理解が難しい。2025/01/22
石橋陽子
19
どんなに信頼できる人が近くにいようとも私達の魂は独りぼっちで淋しいのだとブッダは言う。また孤独を紛らわそうとして苦心惨憺、旅行や娯楽を楽しむが、一時の喜びが終わった後の孤独感は一層募るという。読書をする私達も孤独を紛らわせる意味も少なからずある気もする。ただ一時ではない一生モノの出会いもあるのは確かだ。老少不定とは老が先に死ぬとは限らないということ。全ての人は死と背中合わせに生きている。今自分が人間として幸せである事は奇跡的なことで感謝したいと思う。この世から永遠の幸福になることこそが人生の目的なのだ。2023/12/02
出世八五郎
18
一家に一冊と思いたい。子供ん頃、ブラウン管TVの台にたくさん本があり、その中にお釈迦様の本があった。アジア的けばけばしい色彩だったことが不快と拒否感を生んだ。本書は挿絵付。内容はいい。故に一家に一冊。しかし、ある宗派に属する僧侶が書いた本なので、その宗派の見解となる。人生の目的は自分で見つけなければならない。2023/11/29
aloha0307
17
冒頭から9割は人生の辛苦と「不都合な真実」~ひとはたとえ死の淵にいてもその事実から目を背け、目の前の欲にまみれる生き物である を滔々と解説する(正直 少々気が滅入りました)。 終章で、この「不都合な真実」を受け入れ向き合えば、本当の幸せにたどりつく道があるとする。 誰でも最期は独りである と改めて思い知りました。2025/03/24