内容説明
のらくろ先生、唯一の詩集。
目次
のらくろ
箱庭
大けやき
油
早春
乗合自動車
海の唄
張子のだるま
雨上り
まだ半分
友達
遊動圓木
河童物語
海の子
見世物
小春
水
すゝき
バラツク
何處へ行く
蟇の神經
峠の熊
からつぽ
こりやなんだ
狸の穴
火取虫
つき・ゆき・はな
森の蛙
赤牛
屋臺
舌の練習
まだある
エツサツサ
夢ぢやない
夜廻り
なあんだ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
74
「のらくろ」の田河水泡、唯一の詩集。昭和22年出版された本の復刻版。戦後間もなく大変な時代に、子供たちを愉快に笑わせ勇気づけようとしたのだろう。七五調でリズミカルな言葉が心地いい。読んで面白く見て滑稽ということで「少年漫画詩」と呼んだようだ。戦災孤児の靴磨きが前向きに生きる「夢じゃない」や、「バスの終点遠くて近い 平和と自由の民主の國を 建てて住みよい日本になる日 そこまで止めずに急げや急げ」と歌っている「乗合自動車」等、戦争から解き放され未来への希望に満ちた心情が見える。2022/03/07
とんぼ
3
旧字体が多いので辞書片手にえっちらと読んだ。少年向けに書かれてるだけあって題材は身近で表現も平易。五七調でリズムよく楽しい詩集。「舌の練習」は思わず声に出して読みたくなる楽しさ。親亀子亀孫亀豆亀まごまご…上手に言えずにマモマメと舌がつりまする。「なあんだ」は読みながら本当になあんだ、って言っちゃったよ(笑)。「夢じやない」の衒いない未来への希望に満ちた逞しさが胸を打つ。十代の頃にこんな詩集が身近にあれば詩=抽象的で高尚で意味不明、なんて毛嫌いせずもっと気軽に手にできるようになれたろうに。2022/08/30
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