内容説明
プラグマティズムやアメリカ心理学の祖として知られ、数々の名言を残したウィリアム・ジェイムズのことばの意味やその思想をわかりやすく紹介する。
目次
第1章 世界をどう眺めるか―ジェイムズの哲学的ヴィジョン
第2章 世界のなかの「私」―「心」を哲学する
第3章 宗教的なるもの―ジェイムズの宗教哲学
第4章 心のからくり―「科学としての心理学」を目指して
第5章 私たちは何になりうるか―教育観・人間形成論
第6章 この「私」はどう生きればよいか―生き方・道徳の思想1
第7章 他者とともに社会を生きる―生き方・道徳の思想2
著者等紹介
岸本智典[キシモトトモノリ]
1984年生まれ。米国教育思想史。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。作新学院大学女子短期大学部専任講師を経て、昭和音楽大学専任講師、千葉大学非常勤講師、埼玉大学非常勤講師
入江哲朗[イリエテツロウ]
1988年生まれ。米国思想史、映画批評。東京大学大学院博士後期課程
岩下弘史[イワシタヒロフミ]
1986年生まれ。比較文学。東京大学大学院博士後期課程
大厩諒[オオマヤリョウ]
1983年生まれ。世紀転換期を中心とする英米哲学史。中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(哲学)。中央大学兼任講師、実践女子大学非常勤講師、立正大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
34
『講話』によると、教育の本質は連合の傾向を児童のなかに組織化することであるという(144頁)。資質の組織化。 『信じる意志』によると、人生を恐れてはいけない。人生は生き甲斐があると信じよ、そうすればそのあなたの信念が、人生は生き甲斐があるという事実を生み出す助けとなるだろう、という(190頁)。ジェイムズにとって重要なのは、人生とは私たちの作り出すものであるということ(191頁)。彼が考えた問題の本質とは、社会の分断に関わる問題の起源を相互の無理解に求めます。互いの理想に対して「盲目」である(221頁)。2018/12/02
さえきかずひこ
11
心理学、生理学、心霊研究と学際的に活躍し、とりわけプラグマティズムの哲学で有名なジェイムズの著書からの引用と解説で構成された名言集。理論的な4章までが面白く、実践的な5〜7章は自分の関心にはそぐわなかった。彼は長い間ハーバードで教鞭をとり、教育論でも影響力を持ったようだ。本書の若く丁寧な解説者たちも学究と教育に携わる人々なので、啓発的名言を後半に持ってきたのだろうし、つねに理論と実践を共に重視した思想家としてのジェイムズを強調した編集になっている。巻末のF・C・S・シラーについての短いコラムが有用である。2019/06/24
ぽん教授(非実在系)
4
アメリカ心理学の祖にして、パースと並ぶプラグマティズムを開拓した哲学者ジェイムズの著作から、ジェイムズの思想がよく表れた箇所を名言集のような形で抜粋し、編著者たちが解説を施すというスタイルである。名言集だからこそ原文にかなり接近できる仕組みである強みをいかんなく発揮している。中庸と有用、個と全体の相互理解を目指すジェイムズの現実的かつ優しい考えは含蓄あるつつも即効性もあるバランスに優れていることを感じさせる。2018/09/28
有智 麻耶
2
パース、デューイと並んで、米国のプラグマティストの一人として数えられるジェイムズのことば集。単に名言集として楽しむもよし、各章末のコラムや巻末の原文一覧から研究の一端を知るもよしと、色々な使い方ができる一冊。カナダの哲学者テイラーが、ジェイムズの宗教論を批判的に受容しているという事情のため、『宗教的経験の諸相』からのことばを中心に読んだ。パースやデューイ、ミードがどちらかといえば科学に重点を置くのに対して、ジェイムズは科学に回収されない個人の経験について論じた箇所が多いのかもしれない。2019/01/07
Sumidagawa
1
ジェイムズの著作から引用された56もの「ことば」に専門家がそれぞれ2-4ページずつ解説を付した本。哲学的テーマを扱った一章と二章以外は気になったところを飛ばし飛ばし読んだだけだが、解説が懇切丁寧でとてもよかった。英語の原文が巻末に全て載っているのもナイス。ほかの思想家でもこの「引用+専門家の解説」のスタイルの本を企画してほしい。しかし主客未分・物心中立の純粋経験が世界のあらゆるものの素材って話はやっぱりスピリチュアルに思えてついていけないわ。2023/10/25
-
- 和書
- ポケモン4コマ大百科