内容説明
家臣団から考える戦国大名像。歴史ドラマの時代考証も手掛ける気鋭の戦国大名研究者が緻密かつ大胆に描く、甲斐武田氏と家臣団の真実。
目次
第1部 戦国大名武田氏の興亡(戦国大名武田氏の確立―信虎の時代;大大名への成長―信玄の時代;武田氏の滅亡―勝頼の時代)
第2部 武田氏の家臣団と身分・役職(筆頭家老と「両職」―板垣氏と甘利氏;一門の創出―御一門衆と親類衆;地方支配の責任者―馬場・内藤・山県・春日氏;甲府の吏僚と側近たち―駒井・土屋・跡部氏;側近を育てる―三枝氏;甲斐本国の自治領主―穴山氏と小山田氏;服属した外様国衆―信濃の国衆、それぞれの命運;先方衆から譜代家臣へ―真田幸綱・信綱から昌幸へ;新設された武田水軍―小浜・向井・伊丹氏と岡部一族;戦巧者足軽大将―新参者と足軽;軍師はいたのか―山本菅助;戦国大名と家臣団)
著者等紹介
丸島和洋[マルシマカズヒロ]
1977年大阪府生まれ。2000年、慶應義塾大学文学部史学科卒業。2005年、同大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。2008年、「戦国期武田氏権力の研究―取次論の視座から」で博士(史学)。専門は戦国大名論。国文学研究資料館研究部特任助教などを経て、現在国文学研究資料館研究部特定研究員・慶應義塾大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YONDA
16
武田家の家臣団のあり方について、非常にわかりやすく丁寧に書かれていて勉強になりました。板垣・甘利の両宿老の力を段々と削いで行く巧みさは政治の世界そのものですね。また、国衆の立場や武田家での位置付けについての項では大変勉強になりました。惜しむらくは、信虎から信玄、勝頼の歴史を辿った「第一部・戦国大名武田氏の興亡」で割いたページが多すぎ。その分家臣団についてもっと書いてほしかったです。2016/10/02
スー
12
読みやすくとても勉強になりました。戦国大名達は戦ばかりしていたのではなく当然、領国経営、外交、情報収集等に力を入れていたはずですが、やはりどうしても合戦での勝敗で栄えるか滅ぶかが決まるので戦場で活躍する武将達が有名になります。この本は戦場以外での活動が丹念に書かれているので、知らない人物や武勇だけではない一面を見せてもらえました。足軽大将もイメージとは違い出世の途中の人とここで終わりの人と激戦地に投入する為に死傷者が多い為に補充がきく浪人達が居た事がわかった。穴山信友の肖像画がガッツ石松に見えて笑えた。2017/02/09
MUNEKAZ
11
信玄・勝頼期の武田家を支えた家臣たちを、「郡司」「国衆」「側近」といった役割から考察した一冊。家臣団の変遷や役割の変化を追うことで、武田氏の大名権力の成長や問題点が見えてくるのは面白い。とくに勝頼期において当主・勝頼をはじめ一門全体の若年傾向と信玄期功臣たちの高齢化によるギャップが、図らずも長篠の大敗で「解決」されてしまうことはなんとも皮肉。また武田家に従いながらも自立的な部分を残す国衆を、徳川政権下の外様大名になぞらえる指摘は成程と思わされる。武田家も幕府も国衆(外様)の離反で崩壊したのだ。2019/12/09
getsuki
6
「真田丸」時代考証担当の著者による甲斐武田氏家臣団について。既存の史料を検証しつつ、あまり触れられなかった家臣団のあり方を論じた一冊でした。2016/07/22
オルレアンの聖たぬき
2
これまでは武田信玄公自体を中心に見てきたが、家臣団の構成にも注目していきたいと思った。だが、いかんせん資料がまだ甲陽軍鑑によるところが大きい。今後の資料の発見が楽しみになる本。2021/02/21