内容説明
ナチスによるホロコーストを経験した心理学者フランクル。彼は強制収容所という過酷な状況に置かれ、絶望にあえぐ人間の様子を克明に記録しながら、それでも人生には意味があり、希望があることを訴え続けた。「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生のほうがあなたに絶望することはない」。時として容赦なく突きつけられる“運命”との向き合い方を探る。姜尚中氏の特別寄稿/新規写真/読書案内などを新たに収載!
目次
はじめに 「生きる意味」を求めて
第1章 絶望の中で見つけた希望(『夜と霧』とは;亡命のチャンスを捨てて収容所へ ほか)
第2章 どんな人生にも意味がある(「何か」があなたを待っている;収容所体験の意味 ほか)
第3章 運命と向き合って生きる(自分の仕事をまっとうする―創造価値;愛は生きる力を与える―体験価値 ほか)
第4章 苦悩の先にこそ光がある(苦悩は人間の「能力」の一つである;「苦悩を感じない」という苦悩 ほか)
著者等紹介
諸富祥彦[モロトミヨシヒコ]
1963年福岡県生まれ。明治大学文学部教授。筑波大学人間学類、同大学院博士課程修了。千葉大学教育学部助教授を経て、現職。教育学博士。臨床心理士。カウンセラー。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会理事など幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころりんぱ
56
「夜と霧」を読んでから読むことをオススメします。この本は、いわばエッセンス。わかったようなわからないようなモヤモヤとしたものをパシッとコンパクトに説明してくれたり、フランクルの心理学者としてのスタンスをササっと説明してくれたりしている本です。「夜と霧」の中に出てくる様々なエピソード、フランクルの言葉は、自分の生き方を考えるきっかけになると思います。私もこの先すっごく辛いことが起きたりしたら、必ずまた本を開くと思います。お守りのようなつもりで、自宅に置いてあります。2016/01/03
たかこ
54
「絶望のどん底に突き落とされたとき、人はどのように生きていくことができるのか」。NHKの100分de名著 https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/14_frankl/index.html こころの時代 シリーズ「ヴィクトール・フランクル」https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/blog/bl/peNqP4lG9Z/ 人として生きること、経験からくる言葉の重み、人生についていろいろ考えたいと思ったこの時にやっと読めた。2024/08/03
にいたけ
53
人生辛いことが続くと「なんで私がこんな目に遭わなければならないのか?」「この人生になんの意味があるのか?」と嘆くことだろう。この問いの立て方が間違っているとフランクルは解く。人生の意味は、生きる意味があるのかと「人生を問う」ことではなく「人生から問われていること」に全力で応えていくことだ。この考えを踏まえて「夜と霧」を読むと理解が深まることだろう。「夜と霧」の最適な副読本だと思う。さすが100分で名著である。2022/05/16
佐々陽太朗(K.Tsubota)
52
『夜と霧(新訳版)』を読むのに副読本とした。より理解が深まりました。最良の教科書だと思います。 https://jhon-wells.hatenablog.com/entry/2022/01/27/0845462022/01/26
き
35
「夜と霧」では、人間の尊厳を全否定されるような限界状況に陥ったとき、人間の精神はどのようになるかということを、フランクルは科学者として観察し、目に焼き付けている。「人間が人生の意味は何かと問うに先立って、人生のほうが人間に問いを発してきている。だから人間は、ほんとうは、生きる意味を問い求める必要なんかないのだ。人間は人生から問われている存在である。」この言葉が印象的。フランクルの思想はまだまだ自分の中で腹落ちしていないが、頭の片隅に置いておきたい考え方だと思った。2021/02/07