内容説明
女傑、美女、慈母としての伝統的神話を解体する、ポスト英雄時代の新たな一代記。死後、何世代にもわたって美化され、偶像化されたマリア=テレジアの生涯を膨大な史料に基づいて再構築し、ヨーロッパ近代史の中に再び位置づける。
目次
第1章 プロローグ(記念碑的歴史;男たちの妄想;例外的な普通)
第2章 跡継ぎ娘(祭儀と聖遺物;ヨーロッパ劇場;舞台の裏と表;宮廷の教育課程;王朝間の駆け引き;華燭の典;宮廷というコスモス;寵愛の論理;寵愛の取り次ぎ役;幸薄き夫君)
第3章 オーストリア継承戦争(代替わり;ハンガリー人の忠と不忠;裸の女王様;宮廷での戦争;戦場での戦争;パンドゥーレンテレースル)
第4章 皇后、皇帝、そして帝国(皇帝戴冠;神聖ローマ皇帝フランツ一世;帝国政治;忠実なる支持者)
第5章 諸改革(機械としての国家;古き慣習;新たなシステム;「私はもう別人です」;失寵と得寵と;もう一つの新システム;改革の総評)
第6章 身体政治(美しさ;愛と自由;貞操観念キャンペーン;噂;臣民の規律化;出産)
第7章 精緻な区別(お目見え;宮中の下々;精緻な区別;御意見番;宮廷の時間割;カリスマを磨く;厳粛と喜遊;円卓の騎士)
第8章 七年戦争(復讐;七年戦争;帝国戦争―宗教戦争;メディア戦争―情報戦争;悲惨な結果)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のん818
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女傑、慈母といった言葉で語られる、女帝マリア・テレジア。多くの子供を産み育てながら治世に優れ生涯夫だけを愛し続けた女。そして悲劇の王妃マリー・アントワネットの母。そんな彼女の「本当の姿」を、人物関係、日常生活、内面などを、残された手紙や日記と当時の状勢などと細かく擦り合わせて紐解く大ボリュームの本書。各国に散らばった子供たちに頻繁に手紙を出していたが、読後燃やすようにとも命じていた。そのため真の心情が隠されがちだったが、手紙を残していた子もおり、そのおかげで「母」として「女」としての弱さや逡巡も知られる。2024/07/30
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