内容説明
自然科学と考古学のコラボが謎を解く!
目次
第1章 はじめに
第2章 関東平野の縄文海進と奥東京湾
第3章 マガキ礁と海水準変動の復元
第4章 縄文海進の始まりの頃の東京湾湾口部(横須賀市一帯)
第5章 11000年前~9000年前以降、海は内陸に急速に浸入した
第6章 縄文海進最盛期の頃の環境と貝塚
第7章 縄文海進の末期(縄文時代中期~後期を中心に)
第8章 縄文海進の終焉―縄文時代後・晩期、弥生時代及びそれ以降
第9章 縄文海進による海と陸の変遷と人々の営み
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
17
日本の近代考古学は、モースによる大森貝塚の発見から始まった。その後の関東平野の大開発に伴い、ボーリングと微化石調査が世界でも希にみる密度で行われた。その結果、貝塚の分布が縄文海進に伴う当時の海岸線の変化を反映していることが理学的にも証明された。「弥生の海退」がリアルかどうかは未確定のようだが、すくなくともここ数百年は河川による土砂堆積や人工的な埋め立てによって、陸が海を押し返してるように見える。しかしこの数十年の間に再度トレンドが逆転し、温暖化による海面上昇が見えてくるかもしれない。2022/06/25
いくら丼
5
これは良い本だな。図表が充実していて、基礎を網羅するわかりやすさがある。初学者を意識して書かれているのも感じる。印象としては大学の教科書だ。ただし、問題は東京湾の話であることだ。……言うまでもなく、私は東京湾のことが知りたかったわけではないし、知識もない。まずはグーグルマップと見比べながら地理を把握しつつ、東京湾での縄文海進時期のイメージを何となく把握したら、あとはディテールは読み飛ばしである。ひたすら読み飛ばす。それでも2週間くらい掛かってしまった。でも昔の海水準を比定する手法など、非常に参考になった。2023/08/27