出版社内容情報
「都市を、住民を、効率よく爆撃せよ!」
敗戦直後の1945年9月、米国戦略爆撃調査団が1000人体制で日本各地の徹底調査をはじめた。米軍による「戦略爆撃」の検証である。太平洋戦争末期のB29による本土空襲は東京大空襲が有名だが、空爆は全国でおこなわれた。大阪大空襲、神戸大空襲、名古屋大空襲などでも多数の死傷者が出、犠牲者は全国で50万人といわれる。
本書は米国戦略爆撃調査団文書と呼ばれる膨大な第一級の一次史料をひもとき、大阪、神戸、名古屋、富山、和歌山などの大空爆の実態に迫る。分析文書には、米軍がいかに効率よく空爆するか、いかに広範囲を焼き尽くすか冷徹に邁進する様が記されている(10万人が死んだ東京大空襲は米軍にとって「失敗」とされている)。「無差別爆撃」といわれる本土空襲の実態は明確に民間人を狙った空爆であった。また、調査団が降伏時や戦争についての思いなどを聞いた全国3500人インタビューの抜粋も収録。
※2017年4月‾2019年3月に、毎日新聞(大阪本社版)で連載した「発掘戦禍の証し」を全面的に書き直し、5倍の分量に大幅加筆。
内容説明
「都市を、住民を、効率よく爆撃せよ!」「日本全国で50万人が爆死!」街と人々を猛火に包み焼き払った焼夷弾爆撃の実態。米軍第一級の一次史料がいま明らかに!敗戦直後の人々が語った米国戦略爆撃調査団による全国3500人インタビュー(抜粋)も収録!“作戦任務報告書”“空襲損害評価報告書”ほか米軍資料写真など図版60点超!
目次
序章 本土空襲―民間人を狙った空爆の実態
第1章 大阪が燃えた日―1945年3~8月(「成功モデル」となった大阪大空襲―3月14日大阪市;住民を標的に爆撃せよ―3月14日大阪市 ほか)
第2章 神戸、阪神が燃えた日―1945年3~8月(焼夷弾の「実験場」―3月17日神戸市;破片爆弾の恐怖―6月5日神戸市 ほか)
第3章 故郷が燃えた日―1945年1~8月(破壊率99.5%の地獄絵―8月2日富山市;黄燐焼夷弾を初投入―6月岡山市 ほか)
第4章 敗戦の陰で―1945年8~12月(「1945年版世論調査」―全国3500人インタビュー;警察官と教師、戦時下の心情―12月5日和歌山市 ほか)
著者等紹介
松本泉[マツモトイズミ]
1961年、大阪府に生まれる。1986年に毎日新聞社に入社。京都支局、大阪本社社会部、松江支局長、大阪本社事業部長、同運動部長、論説委員を経て、現在は大阪本社社会部部長委員。2013年から同志社大学嘱託講師を務める。社会部記者時代から平和報道に関わり、戦争体験者の証言や太平洋戦争時の市民生活などの取材をつづけてきた。「少国民の夏」「焦土から」「消えた卒業式」など多数の連載企画を手がけたほか、平和や戦争をテーマにしたシンポジウムに参加している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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