内容説明
日韓問題で今、最も耳を傾けられるべき「思想詩人」の発言集。「在日」の歴史をたどり、「日本語」と自身の関係を問う。尹東柱の詩を語り、現代詩の可能性を追求。そして長い沈黙をへて語り始めた重い経験、済州島四・三事件、吹田事件…単行本未収録作品多数、大幅加筆!!
目次
1 「在日」を生きる(私の中の日本と日本語;善意の素顔―より良い理解のために;違うからこそ向き合う関係の創造を;差別を日日醸しているもの)
2 文学論(詩、それは俗性との闘い―小野十三郎から私は何を学んだか;今、居る場所;私の在日朝鮮人史;尹東柱の詩と「抒情詩」;詩について思うこと、考えていること―わたしの日本語と詩)
3 歴史の証言者として(記憶せよ、和合せよ―済州島四・三事件と私;吹田事件・わが青春のとき;私の八月;遅れた祈式―六〇年を経て産土神にすがる;知らず知らずで、戦前回帰;境界は内と外の代名詞)
著者等紹介
金時鐘[キムシジョン]
1929年(旧暦1928年12月)朝鮮釜山に生まれ、元山市の祖父のもとに一時預けられる。済州島で育つ。48年の「済州島四・三事件」に関わり来日。50年頃から日本語で詩作を始める。在日朝鮮人団体の文化関係の活動に携わるが、運動の路線転換以降、組織批判を受け、組織運動から離れる。兵庫県立湊川高等学校教員(1973‐88年)。大阪文学学校特別アドバイザー。詩人。主な作品として、詩集に『地平線』(ヂンダレ発行所、1955)『日本風土記』(国文社、1957)長篇詩集『新潟』(構造社、1970)他。評論集に『さらされるものと さらすものと』(明治図書出版、1975)『クレメンタインの歌』(文和書房、1980)『「在日」のはざまで』(立風書房、1986、第40回毎日出版文化賞。平凡社ライブラリー、2001)他。エッセーに『草むらの時―小文集』(海風社、1997)『わが生と詩』(岩波書店、2004)『朝鮮と日本に生きる』(岩波書店、2015、大佛次郎賞)他多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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