出版社内容情報
海から捉える清朝史。「叢書」待望の第二弾!
アヘン戦争以前の清朝は、鎖国ではなく、海上貿易に積極的に取り組む一方、頻発する“海賊”に苦しめられ、取り締まりなどの治安維持にも様々な対策を繰り出していた。海賊の活動を手がかりに、政策、軍事・防衛策、財政、国際関係などあらゆる側面から、18世紀末~19世紀初のシナ海域の歴史をつぶさにたどり、東方から世界につながる動きを見通す意欲作。
18世紀末、清朝東南沿海では海賊行為が急増し、浙江・福建・広東の各沿海域に大きな被害をもたらした。そして、「海賊」の存在は、清朝皇帝・官僚・商人・漁民・台湾開拓民のあいだで、さらにはベトナム、イギリス、マカオなど、さまざまな場で問題視された。なぜ海賊は突如出現したのか。海賊はなぜさまざまな人々から「問題」だと思われたのか。そもそも海賊とは誰だったのか。そして海賊は清朝東南沿海に何をもたらしたのか。本書は、当地の社会・経済・国際関係から海賊問題をめぐる諸利害を読み解き、18世紀から19世紀にかけての清朝東南沿海域の歴史的展開を示す。
【著者紹介】
豊岡康史(とよおか・やすふみ)1980年生。信州大学学術研究院人文科学系(人文学部)准教授。2002年、千葉大学文学部卒業。2010年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は中国近世史。著書に『東インド会社とアジアの海賊』(共著、勉誠出版、2014年)など。
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