内容説明
憲司は大学の卒論を書くための資料探しに東京・神保町の古本屋に向かった。そこで、店から勢いよく出てきた女性とぶつかってしまい、彼女の落とした帽子を拾ったことから憲司の人生は思わぬ方向に転がり出す。『赤毛のアン』が大好きで英文学専攻だったのに弁護士になった桜野杏、法科大学院で優秀な成績をとりながら法曹の道をあきらめた柚木警部補、デモ隊と首相官邸を両にらみする国防省の石田…それぞれの選択が交錯していく「もしも」の世界。いつか、これは本当のことになるかもしれない。
目次
第1章 杏と憲司と萎縮効果
第2章 杏と真琴と憲法改定
第3章 杏と憲司と低投票率
第4章 杏と長谷川と大学の自治
第5章 坂本と集団的自衛権と経済的徴兵
第6章 坂本と石田と通信の秘密
第7章 杏と原と生存権
第8章 憲司と原と平等原則
第9章 柚木と石田と立憲主義
第10章 杏と柚木と緊急事態宣言
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京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なゆ
17
今の世の中の流れから想像できるけど現実になってほしくない未来の話。もうすでに未来じゃなくて、現実になってしまっている事もあり、さすがの予知力。話もテンポよく楽しく読めました。政治なんて身近に感じられない、自らデモに参加も考えにくい、選挙は行くけど賛成したい政策と反対したい政策の両方を掲げてる候補者しかいなくて優先順位付けに悩む、そんな私でも政治に関心を持ってゆけば、この話のような未来から逃れられる動きの助けになれるのでしょうか。素人の想像を超える、実現可能なあらゆる未来も報道していってほしいです。2017/01/15
Mao
9
他人事だと思ってスルーしていると、どんどん独裁政治に向かってしまう。既に進行中。 なんとか一刻も早く止めたい。2017/03/02
織羽焰
7
アメリカ大統領選挙が終わって振り返ってみたら、この本ではトランプが大統領になることも、7月の参議院選で改憲派が3分の2の議席を取ってしまうことも予言されていた形。 あとは憲法改正だけか? この本に書いてあるような未来が来ないことを望むばかり...。2016/08/31
本好きです
7
小説になっていてとっても読みやすく、そして、とてもリアルな現実問題でもあり、考えると怖くなった。考えたくないけれど問題意識やもっていなければいけないのではないかと感じた。 私達の自由と平和は自分達が無関心をやめることで、守らなければならないなと思った。2016/11/06
こっぷ
5
自民党憲法草案の問題点を指摘するというだけではなく、ストーリーとしてちゃんと面白くなっているところに感服。移民排斥する新アメリカ大統領、ナチス発言の副総理、3世代世襲のボンボン総理って実名出さなくてもほとんど分かってしまう(隠す気がない?)のが笑える。でももし、本当にこういう未来が来たら、この本を読んでたことが図書館のデータベースから調べられたら公共の利益に反するって事で私も逮捕されそう。2016/10/15