感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
livre_film2020
29
ファンなので、文庫のくせに2000円近くする本書を買ったけど、一般ウケしないに決まっている内容なので 万人にはお勧めできない(だから高価格帯の設定だと思うが)。ファンである私ですら、読むのが辛かった。 ずっとお前は間違え続けてきたし、今後も間違え続ける と非難されているようで(断っておくと、非難ではない)。それでも読んでよかったなあとは思う。短歌を取り巻く現状に留まらず、社会の理不尽さ、「マジョリティー」の定説の脆弱さ、これから私が選び取る価値観のこと。良い先生に叱られたあとの清々しさがあるから。2025/05/05
ゆう
11
短歌界での偏見の批判や、短歌の批評の批評がされた連載をまとめた本。読んでよかった。優れた歌人たちからなる歌壇だからといって、女性の立場に無理解であることや、マイノリティへの偏見から短歌を誤った方向で批評していることが往々にしてあることを知った。最初はあまりの現実の酷さに気分が落ちこんだが、酷さに慣れるとそれに立ち向かう人々の存在に勇気づけられ、「批評は何のためにあるのか(最終回)」(2023年9月)では批評が固定観念を壊して新たな読み方を提示し続ける必要性が語られており、清々しい気持ちで読み終えた。2024/10/26
rinakko
8
素晴らしかった。「批評」でこんなところにまで行けるのか…という思い。書籍化してくれてありがとう…。“わたしが文学のどういうところに惹かれるかといえば、(略)。現実を追認しない力。それは、〈現実〉と呼ばれているものが現実であることを疑う力であり、現状がこうなっているからと後をついていくのではなく、まちがった現実を変容させていく力でもある。ちゃちな「人生で経験すべきことリスト」にチェックを付けるようにして現実なるものを体験するのではなく、幻想によって現実よりも深いところを経験することである。”2025/01/07
garyou
3
前々回の米国大統領選の時カメラに向かって「ポリティカル・コレクトネス(以下PC)にはうんざりだ!」と叫ぶ米国の人がいてなぜPCはそう受け取られてしまうのか、ちょっとわかった気がする。戦時下、戦争賛美の歌を作った歌人が多かったのは、それまで役に立たないと思われていたものが役にたつうれしさから、という話にも納得すると同時に恐ろしい気がした。役に立たなくてもいいんだよ、とかね。王徽之くらいの気持ちでいきたい。著者の書くことが必ずしも全て正しいわけではないが、とても参考になると思った。歌の読み方の参考にもなる。2024/11/03
アララギ
1
何も知ろうとしないでただ目隠しをしながら時流に乗る(あるいは閉ざされたセカイを作る)だけの行為は個人にも集団としても無意味で、考えを走らせる事は現在を常に好転させる為の祈りである様に思えた。2025/03/17