出版社内容情報
パリでは島崎藤村と出会って論戦を交わし,ベルリンでは第1次大戦の開戦に遭遇,イギリスではロンドンとその郊外の農村で暮らす.初めて西欧文明と出会い,故国に逐次書き送った若き河上肇の東西文明論.(解説=住谷一彦)
内容説明
1913年10月、34歳の著者はヨーロッパに旅立った。パリの下宿では島崎藤村と激論を交わし、ベルリンでは第一次大戦の開戦に遭遇、敵国ドイツから慌ただしく退去、イギリスではロンドンとその郊外の農村で暮らす。初めて西欧文明と出会い、逐次故国に書き送った若き河上肇(1879‐1946)の東西文明論。
目次
祖国を顧みて(西洋と日本;日本民族の血と手;戦塵余録;漫遊雑記)
巴里に於ける島崎藤村君
文部省留学生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
花男
13
ベルギー、フランス、ドイツ、イギリスでの留学日記であるが、大変面白い。 まさに第一世界大戦が始まる最中にドイツにいて、イギリスに逃げたとの後だが、そんな現地にいた様子を書いたのは著者だけではなかろうか。 ドイツはイギリスが敵になるとは思わなかったであろうと書いてあるが、その点も歴史で習う事実と異なる感想が書かれており面白い。 今自分がこのヨーロッパを訪れるとどのような感想になるのか非常に興味深い。 そしてやはり本というのは素晴らしい、歴史を超えて読み継がれるのだから。2025/02/13
壱萬参仟縁
0
木曽の文豪島崎藤村とパリの下宿でげ激論を交わしたという河上肇。「自分が寝ずに書いたものは他人もまた寝ずに読んでくれます」(p.249)との一節は、現代のブログ、facebookなどのネット社会にあっても、同様なことがいえるだろうか? 24時間、寝る時間もあるけれども、常に考え続ける必要を感じた。2012/04/15