内容説明
どうして、こんなことをわざわざ書くんだろう。「穿ち」「軽み」「おかしみ」と、その先へつながる現代川柳の世界。はじめて手に取る川柳アンソロジー333句。
目次
月曜日の川柳(今日もおろおろと;金魚の出番;雨はどこにでも;心の揺れ;歯医者と眼鏡屋)
火曜日の川柳(自転車を停めて;不思議な街;今のふたり;生きるとは;自分を保つ)
水曜日の川柳(テレビで見ます;すったもんだ;ニャーと鳴くだけ;老いゆくよ;酒の肴に)
木曜日の川柳(輪郭をつかまえる;転がったところ;母と並んで;傷つきやすさ;家の灯り)
金曜日の川柳(妖精と酢豚;妻の才能;旅に出る;記憶の夕焼け;まっすぐ夜になれ)
著者等紹介
樋口由紀子[ヒグチユキコ]
1953年大阪府生まれ。「晴」編集発行人。「豈」「トイ」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumiha
39
まず「どうしてこんなことをわざわざ書くんだろう」という帯にニヤリ。言い得て妙。そんな現代川柳333句が収録されたアンソロジー。すでに出会っていた句が5分の1ほど。「にいちゃんが盗んだ僕も手伝った」(くんじろう)「こんな手をしてると猫が見せに来る」(筒井祥文)「長靴の中で一ぴき蚊が暮らし」(須崎豆秋)「神さまに聞こえる声で ごはんだよ ごはんだよ」(山村祐)「ほうれん草炒めがほしい餓鬼草紙」(飯田良祐)「戦死者の中のわたしのおばあさん」(松永千秋)などの句は、日々の暮らしの中でふわあっと蘇る。なつかしい。 2020/03/05
けんとまん1007
35
川柳。短歌・俳句・都都逸・詩の中で、一番、馴染みやすいのが川柳・・・あくまで、個人的に。おもわず、くすっとしたり、何だこれはと思足り、しみじみとしたり面白い。それでいて、読み込み想像する世界は一番広いのかもしれない。短い文字数だからこそのなせる技。ふと、作ってみようか・・・とも思う。2020/11/21
双海(ふたみ)
14
現代川柳を知りたくて読みました。満足!「深みとは何水甕に水のなき」・「菊貰う菊より美しいひとに」・「長い長い手紙を書いてきた海だ」・「恋せよとうす桃色の花が咲く」2021/10/17
僕素朴
2
川柳の本って初めて読んだかも。というか詩ってほとんど読まない。なのでこの本みたいに1首ごとにコメントがあると鑑賞の手引きのようでありがたい。川柳の読み方100本ノック。読みながら、これは面白い、これはよくわからない、と好き嫌いで判断しているうちに、なんとなく川柳らしさ、川柳観みたいなものが一時的にでも鍛えられていくようで面白い。最後の「まっすぐ夜になれ」に入っていたのみんなよかった。2021/03/14
ぱぴー
2
編者の解説のおかげで、川柳を堪能しました。気に入った句がたくさん見つかり、何度も読み返しました。「ほんものの息子は電話してこない」は、本当に秀逸だと思います。2020/11/30