目次
1 時間‐危機の都市史(危機と都市;ローマの都市構造―都市発展要因としての洪水;平安京・京都と危機;ミラノと水―古代都市システムの危機)
2 領域‐危機と居住(貞観地震・津波に学ぶ―陸奥国はいかに復興を遂げたか;都市社会と自然災害―中世および近代初期のトスカーナにおける河川氾濫;氾濫原・湿地・砂洲上の集落―16~19世紀新潟の蒲原平野を中心に)
3 文化‐共存と再生(ナポリ、永遠に再生しつづける都市;11世紀から19世紀における北イタリア平野の河川システムと都市・農村の生活;誕生から19世紀までのパドヴァ水系における危機;アジアの水都―災害と信仰・身体性・統治)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
5
イタリアと日本の都市史研究者による危機論。副題のとおり、とくに水の問題をテーマとしています。危機は外から降ってくるものではなく、内側にあるというのが肝。どうでもいいですが、編者のスカローニ氏の論文が危機についてまるで触れていないのは気のせいでしょうか。日英バイリンガル版なので横長の造本で、若干読むのに持ちづらさはありますが、装幀は綺麗。2017/03/02
kavocha
1
興味深かった。危機となりうる水を街に取り入れ、利用するという矛盾していそうな方針。そこには、アジアに見られる《水への信仰》といった実用とは離れた精神的な背景も見え隠れする。水に関する知識は、その土地で伝統的に継承されていく、という所も面白いなぁ。読んで正解。2021/04/09