目次
1(ここにいるしか;かくまう;完璧なバタフライ ほか)
2(不思議に思わない;滲み込むようにできている;雪かと思った ほか)
3(裸より寒い;夜ごとのフルーツバスケット;別々の歩道橋から ほか)
著者等紹介
鈴木晴香[スズキハルカ]
1982年東京都生まれ。歌人。慶應義塾大学文学部卒業。雑誌「ダ・ヴィンチ」『短歌ください』への投稿をきっかけに作歌を始める。第1歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房)。2019年パリ短歌イベント短歌賞にて在フランス日本国大使館賞受賞。塔短歌会編集委員。京都大学芸術と科学リエゾンライトユニット、『西瓜』所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おおにし
18
恋の歌はどれも今の私には眩し過ぎる。それより次のようなツィートっぽい歌が印象に残った。「老人の漕ぐ自転車が歩くよりはるかに遅いのに倒れない」「完璧なバタフライをしていたところライフセーバー直線で来た」2022/02/04
みーなんきー
17
どんなジャンルの本か知らずにリクエストして読みました。このかたは詩人で、それがとても心にしっくりくる現代の人向きのものでした。普段詩は読まない私ですが、飽きもせず面白く読んで、途中で何度かクスッと笑い楽しめました。詩、良いですね。他にも読んでみようかしら?2022/03/08
水色系
17
鈴木晴香さんの恋の歌が好き。「君と見たどんな景色も結局はわたしひとりが見ていたものだ」(P157)。他人同士だからこその、完全に分かりあうことのできないさみしさのようなものが詰まった一首だと思う。2022/03/06
R子
15
歌集。何気ない日々の風景を切り取っている。つぶやきを読むようにさらりと読めた。とりわけ恋の歌が良い。甘くてほんのり切ない。特に好きな3首▼言葉では足りないと言って抱きしめるそれでも足りないから声になる▼星に名を与えるようにくちづける問うためだけに問うてもよいか▼オリーブも胡麻も油になるような星でどうして君に会えない2023/12/16
練りようかん
13
『短歌ください』でめきめき頭角を現した鈴木さん。単独の句集を手に取るのは初めてでタイトルに惹かれた。そのタイトルを強く意識したのは“くちびるを離せば話すしかなくて夢中にならないように刺す釘”。舌が釘?という具体とエロスの結びつきにらしさを、体より心が盛り上がる方が危ないぜという逆転思考が面白い。“犯人は朝のコップを洗い終え、その時はまだ犯人でなく”も、洗う=足を洗う又は凶器を洗うなど逆さの時間を思わせてユニーク。ハンバーガーと三角形の同じアクセントや、破調による抑制不能が情景を動く画にして魅力的だった。2025/05/30