目次
1(ここにいるしか;かくまう;完璧なバタフライ ほか)
2(不思議に思わない;滲み込むようにできている;雪かと思った ほか)
3(裸より寒い;夜ごとのフルーツバスケット;別々の歩道橋から ほか)
著者等紹介
鈴木晴香[スズキハルカ]
1982年東京都生まれ。歌人。慶應義塾大学文学部卒業。雑誌「ダ・ヴィンチ」『短歌ください』への投稿をきっかけに作歌を始める。第1歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房)。2019年パリ短歌イベント短歌賞にて在フランス日本国大使館賞受賞。塔短歌会編集委員。京都大学芸術と科学リエゾンライトユニット、『西瓜』所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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momo
50
久し振りに恋の歌が読みたくなった。【星に名を与えるようにくちづける 問うためだけに問うてもよいか】【言葉では足りないと言って抱きしめる それでも足りないから声になる】【どちらかが返信しないで終えるしかない 毎日の果てに吐く息】【夏の夜の躰めあての雨の窓 こころがめあてと言ってしまえよ】こころがめあて、っていい感じ。2022/01/09
おおにし
18
恋の歌はどれも今の私には眩し過ぎる。それより次のようなツィートっぽい歌が印象に残った。「老人の漕ぐ自転車が歩くよりはるかに遅いのに倒れない」「完璧なバタフライをしていたところライフセーバー直線で来た」2022/02/04
みーなんきー
17
どんなジャンルの本か知らずにリクエストして読みました。このかたは詩人で、それがとても心にしっくりくる現代の人向きのものでした。普段詩は読まない私ですが、飽きもせず面白く読んで、途中で何度かクスッと笑い楽しめました。詩、良いですね。他にも読んでみようかしら?2022/03/08
水色系
17
鈴木晴香さんの恋の歌が好き。「君と見たどんな景色も結局はわたしひとりが見ていたものだ」(P157)。他人同士だからこその、完全に分かりあうことのできないさみしさのようなものが詰まった一首だと思う。2022/03/06
ちぇけら
12
きみは片仮名と漢字で書くように好きなひととじゃなくてもするの?なんて短歌を詠んでみる。濃縮還元された夏の夜に、肺呼吸であることも忘れて君のくちびるを求めていた。暗くしてと言うにも、まだ好き?と聞くにも、君から一度離れなくてはならなくて、躰はなんて愛に不向きなのだろう。わたしから離れたくちびるで君は、また会おうとか、一生大切にするだとか、永遠を知っているみたいに言う。わたしはこのまま明日が来なければいいのに、なんて思って開かれているというのに。割れ目から夜が溢れ落ちる。TikTokには収まらない、長い夜。2023/08/27