内容説明
個展「われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」発表作、広告、SNS…書き下ろしを含む、カテゴリーを超えて運動する先鋭詩人の42篇、第10詩集。
目次
初雪の詩
三宮駅の詩
12月たち
雪景色
6等星の詩
湖
(タイム)ループ
一等星の詩
period
ろうそくの詩〔ほか〕
著者等紹介
最果タヒ[サイハテタヒ]
詩人。2008年『グッドモーニング』で中原中也賞受賞、2015年『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
77
詩集。最果タヒ展「われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」で初出された作品を含む42編の詩。タイトルにあるように「星」をモチーフにしたものが多い印象▽ぼくは人間のつもりでいて、きみは神様のつもりでいる/冬はおかしい/光れども光れども/春ののどけき/私たちが彗星だったころ(それは前世の話なのだけれど、)/美しく美しくと泣いている骨でも肉でもないぼくの湖/どうか、ぼくのことをずっと愛さないでください▽流れ落ちてゆく言葉たち「きみ」と呼べる人がいない寂しさと自己愛▽好き2023年刊2023/07/16
konoha
49
最果タヒさんといえばポップなイメージなので、こんなに静かで哲学的な詩を書かれるようになったんだと驚いた。雪や海の景色に重ねた「ぼく」から「きみ」への恋や愛の詩。感性が研ぎ澄まされている。あとがきを読み、よりシンプルに表現の根源に立ち返ったのかなと感じた。最果さんに限らず、フレッシュでとがった感性の方が作風を変えると戸惑いもあるけれど、年齢を重ねて作風が変わるのは自然なことでずっと読者として読んでいきたいと思う。2023/06/02
みや
24
2020~2022年に開催された展覧会の発表作品に書き下ろしを加えた42篇を収録。詩はどの時代、どの国の作者でも理解できないことが多くて非常に苦手なジャンルだが、好きな作家が推しているので手に取ってみた。やっぱり私にはよく分からない。ただ文字を追うだけで終わってしまう。「あとがき」だけは理解できたし、共感できたし、納得できたし、良かった。 2023/02/28
水色系
21
最果さんの本、一人で読むのに似合うなと思う。佐々木俊さんのデザインも大好き。「三宮駅の詩」が特にいいな。三宮とか神戸って言葉が出てこないのに雰囲気が伝わるのはさすが。2023/02/18
冬見
16
冬。今、読めてよかったなと思う。はじまりの「初雪の詩」「三宮駅の詩」があまりにも良くて、好きで、何度も読み返した。あとは「ろうそくの詩」「白い息」「ぼくら以外みんな恋人」。この詩集を締めくくる最後の詩が「雪解け」なのも美しい。雪、湖、星、きみ、死、まばたきの間に燃えていく。その姿はさびしくて、とてもきれいだ。「恋なんかじゃない きみにとっての神様になれなきゃぼくは窒息死するっていう それだけだ」2023/02/04