内容説明
ダウン症でこの病気で、しかも今生きている人は世界で一人だけなのかもしれない。世界でたったひとりでも、たしかにここにいるということを、息子が生きている間に、せめて日本語でかたちにしておきたい。「ここにいた」という過去形になる前に…。
目次
第1部 拓野の闘病記(イラスト=中畝治子)
第2部 トーク&ミニコンサート「形質細胞性白血病とダウン症と」
形質細胞性白血病とはなんぞや?
第3部 なんとかなるさ―四人の息子と子育て・仕事(叱った子どもが成人―親なんて割に合わない;春からそれぞれの生活―弟たちの変化に長男は感慨;ダウン症の長男―作業所ライフに全力投球;大学四年生で第一子出産―「障害児の母」構えずに;子どもが四人に増えて―院生時代保育園に支えられ;ズルズルと研究者に―目的持った大学生まぶしく;長男誘い次男のいる三重へ―大切な思い伝える旅路;カウンセリングの現場―ひたすら聴き寄り添う;長男の講演にお供―知らなかった夢に驚き;お正月―子の成長しみじみ思う ほか)
特別寄稿 なんとかなります―浅野史郎(元・宮城県知事)
著者等紹介
玉井真理子[タマイマリコ]
1960年生まれ。東北大学大学院教育学研究科博士後期課程修了、東京大学医学部にて保健学博士取得。信州大学医学部保健学科准教授。信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターの臨床心理士を兼務。専攻は、心理学、生命倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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S.Mori
14
ダウン症で形質細胞性白血病という難病にかかってしまった息子さんを持つお母さんによって書かれた本です。いくら治療を尽くしても病気の悪化は止まりません。息子さんの明るさが救いです。染み入るような笑顔の写真が何枚も収録されていて、それを見ると涙が出ました。かつ丼がお好きなそうで、「かつ丼食いて~」と言いながら点滴中に歩きまわるイラストは可笑しかったです。この本を読んでどんな人の命もかけがえのない尊いものだと改めて思いました。病気や障害者の方を社会のお荷物だと見なすような考え方はやめるべきです。2019/12/02
マイケル
8
最近読んだ「出生前診断―いのちの品質管理への警鐘(佐藤孝道)」の座談会で出生前診断に批判的な本書著者。元気だったダウン症の長男が難病で余命わずかと宣告。大変な闘病生活のはずだがなぜか明るさがあるのはダウン症の人のキャラクターのためか。全身麻酔して約1Lの骨髄液を何時間も掛けて採る骨髄移植ドナーの大変さ。以前見た映画「私の中のあなた(2009)」を思い出す。あの薬害で有名なサリドマイドが効くという病気。「はじめに」に書かれている闘病記の話は、「いのちとがん 患者となって考えたこと(坂井律子著)」を思い出す。2020/08/26
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