内容説明
モノをカタチづくる輪郭線と、画家たちはいかに格闘してきたのか?日本絵画の要諦は線にあり。奈良時代の墨絵から浮世絵、近代画まで、日本絵画の歴史一二〇〇年を新しい視点で読み返す美術案内。
目次
線の辿った道―奈良から鎌倉まで
明兆―ひらひらと舞い踊る線
能阿弥―溶けずに残る平らな線
雪舟―摩訶不思議な無重力の線
雪村―水飴のような粘気のある線
百鬼夜行絵巻―暗闇に跳梁する線
狩野永徳―暴れ廻るような極太の線
長谷川等伯―濃淡を戦わせた線
海北友松―武人の魂が込められた線
岩佐又兵衛―古典を洒落のめす線〔ほか〕
著者等紹介
安村敏信[ヤスムラトシノブ]
1953年富山県生まれ。東北大学大学院博士課程前期二年の課程(日本美術史)修了。1979年より板橋区立美術館に勤務し、2013年まで同館館長。江戸狩野派の研究と作品の発掘に携わり、ユニークな展覧会を数多く企画。現在、萬美術屋として活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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nizimasu
7
美術の本は好きだけど中心にあるのは美術史的な見方だったりする。そうした中で技法についての一般向けの解説書は中々いいのが見当たらなかったりすがこれは歴史的に過去からなぞっていて非常に読みやすかった。鳥獣戯画をここでも取り上げているがその漫画の原点と言われた作品がなぜここまで日本の美術史において意義があるのかは後の絵草紙になぞられる物語の時間的推移を見せるという点やシンプルな線で写実ではない日本美術の特性がすでに確立していたことにも着目している。そうした線を巡る物語は水墨画に至るという文脈解説の手腕は見事です2016/03/17
tsukiakari87
1
【狂気の線と正気の線】日本絵画のキモは輪郭線にあり、というのが本書のテーマ。では、射程を西洋絵画に広げ、例えば狩野永徳とファン=ゴッホを比較してみるとどうなるだろう?著者が述べるとおり、永徳の線は《力強くデモーニッシュなエネルギーを秘めこん》でいる(「唐獅子図屏風」を見よ)。一方、ゴッホにも浮世絵よろしく輪郭線が登場するが、それはどこか硬質で、人心を惑乱するような強い色彩の陰に隠れがちと思える(森村泰昌はその特徴を「正気としての輪郭線」と評する)。同じ線でも、永徳とゴッホではあり方が真逆なのかもしれない。2019/10/16
takao
0
ふむ2018/02/05