出版社内容情報
文化の周縁をも同列に論じ、本に埋もれてこの世を去った鬼才の絶筆を書籍化。永代橋をキーワードに思考は拡散し収斂する
内容説明
長年そのたもとに居を構え、本に生き本に没した文筆家が、「橋を渡る」という行為をめぐり壮大な人脈図を紡ぐ。死去直前まで書き継がれた長篇雑文。
目次
1 その先は永代橋(双刀;Bus;根本中堂;吹雪;雨雲;電気ブレーキ)
2 ベーコンの永代橋
著者等紹介
草森紳一[クサモリシンイチ]
1938年2月23日、北海道河東郡音更町生まれ。慶応義塾大学文学部中国文学科卒。在学中は奥野信太郎、村松暎に師事。同大推理小説同好会に入り、先輩の紀田順一郎や田波靖男らと交流。61年婦人画報社入社。『婦人画報』編集部で伊丹一三「ヨーロッパ退屈日記」などを担当。真鍋博の推薦で『美術手帖』に漫画評論を書き始める。64年退社し、慶應大学の斯道文庫勤務や非常勤講師などを経て評論家に。以降、サブカルチャー、デザイン、宣伝、写真、建築、幕末、明治など様々な領域を論じる。2008年3月19日頃、自宅にて心不全で死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
59
著者が住んでいた永代橋を舞台にした一冊。橋は数多くあれど、物語自体を内在する橋はそう多くない。ここで書かれている永代橋もその一つ。本書前半は清川八郎や小津安二郎、志賀直哉等この橋を渡った人々を独自の視点から書かれている。後半は身辺雑記とフランシス・ベーコンと永代橋。ベーコンについては暗いので読むのがちょっと辛かったが、身辺雑記の方は吐血とか色々凄い。先日上京した際、泊ったのが茅場町なので永代橋から隅田川を見下ろした事がある。遠くにスカイツリーと高層ビルを望む独特の川面の風景を懐かしく思い出しながら読んだ。2018/10/03
almondeyed
2
「シサム」という草森紳一が行きつけだったというレストランに行ってみたかったなぁ。このお店のオーナーだった人は草森さんのお葬式に列席したんだろうか?この人たちと草森さんとのやり取りは可笑しさもあるんだけど、筆者がいない現在読むととても物悲しい。こんな風に書いて貰えた彼らが羨ましい。去年のベーコン展の時にこの本が出ていたら、ベーコン展をより面白く見ることができたかも。『ベーコンの永代橋』が雑誌に連載されていた頃は、まだ草森紳一の本を一冊も読んだ事がなかったのだ。2014/06/05