内容説明
中国台頭、資源依存型経済の低迷…危機の中のロシア大統領は、生き残りをアジア進出に賭けている。プーチンはなぜ領土問題に熱心なのか?その背後にあるアジア進出戦略を第一線のロシア・ウォッチャーが分析する。
目次
第1章 プーチンの素顔
第2章 ソ連崩壊とロシア社会の変遷
第3章 石油と天然ガスをめぐる戦略ゲーム
第4章 衰退の危機にあるシベリア・極東ロシア
第5章 ユーラシアのグレート・ゲーム
第6章 膨張する中国、備えるロシア
第7章 アメリカの一極世界は来なかった
第8章 プーチンの朝鮮半島戦略
第9章 東へ動くロシア
第10章 北方領土問題解決の方程式
著者等紹介
石郷岡建[イシゴオカケン]
1947年東京生まれ。早稲田大学文学部中退。国立モスクワ大学物理学部天文学科卒業。74年毎日新聞社に入社。横浜支局、東京本社社会部を経て外信部へ。カイロ中東特派員、ハラレ(ジンバブエ)・アフリカ特派員、ウィーン東欧特派員、モスクワ支局ソ連・ロシア特派員(2回の勤務)、専門編集委員(論説室兼務)。06年から日本大学総合科学研究所教授、日本大学国際関係学部非常勤講師など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鳩御殿
2
ここ最近でこそ長期の独裁政権で国民から非難を浴びるも、旧ソ連崩壊後の混乱からロシアを建て直した人物として評価の高いプーチン。 著者の憶測部分があるものの、生い立ちや元KGBというキャリアから作り上げられたプーチンの政治思想がよくわかったし、今後の世界におけるロシアの立ち位置や経済発展のために、驚くほど戦略的且つ長期的に考えて外交に臨んでいるということがよく理解できた。もちろん日本の北方領土返還問題もその戦略の一つ。 これを機に、プーチン関連の本はあと何冊か読んでみようと思う。2013/05/18
たけふじ
1
第二次プーチン政権が始まった2013年の本だが、プーチンのスタンス自体はそれほど変わっていないように思える。特に膨張する中国への脅威は現在も変わらず、むしろ強まっているのが現状だ。経済界を中心に極東への関心(cf.ウラジオストクでのAPEC開催)は高まるが、中国のみに依存すれば中国の覇権国化を手助けすることになるため避ける必要がある。そこで同じく中国に脅威を抱いている日本(敵の敵は味方理論ですね…)を引き込みたいが、日本のロシアアレルギーは変わらない。ぎくしゃくした関係は2019年現在も同じだ。2019/02/03
元気ハイター
0
プーチンの生い立ちに始まり、ロシアの戦略そしてプーチンの現実主義を様々な事例から垣間見ることが出来た。憶測による部分もあるが、ロシアは明らかに日本にサインを送っている。しかし日本は鎖国時代からNOの一点張り、ロシアの片思いが続く。日本は中立・安全思考でありながら影響力が強く、どの国も味方に付けようと必死。ロシアもその国の一つ。日本にもロシアにも様々な路線を主張する陣営があるが、お互いを知る努力が不足気味。相手を知り、ウィンウィンの関係や「引き分け」に双方が応じられるようなパートナーとなることを切に願う。2014/06/24
トゥクトゥク
0
昨年「世界で最も影響力のある人物」1位に選ばれたプーチン氏と、彼が指揮をとるロシアという国を知るには恰好の書。一般的な日本人からしたら旧ソ連や社会主義などと何を考えているか分からないお隣(これすら実感のない日本人も多いかも)のちょっと怖い国、というような印象を抱いている人も少なくないと思うが、国民の精神性から言えば、日本人にとって欧米よりも近しい存在のようにも感じるし、とにかく、クリミア情勢や北方領土のことなどもあるにはあるが、この先とても重要な国になっていくのには違いなさそうなので注視していきたい2014/03/15