内容説明
古墳時代中期に日本列島にもたらされた札式甲冑は、構造の革新を行いながら次第に数を増し、古墳時代後期には倭の甲冑の中核を担うようになる。札式甲冑は先行研究においても扱われてきた遺物ではあったが、その構造や用途については不明な点が多かった。本書では特に古墳時代中期の資料を中心として、札式甲冑の構造復元と用途の検討に踏み込み、札式甲冑の導入から展開における過程を検討する。また、本書では著者が近年取り組んでいる3Dデータからの資料比較として、札式甲冑の導入・展開期に存在する同型鏡群・鈴付銅器を取り上げ、再考を試みる。
目次
札式甲冑研究史と本書の目指すところ
第1部 古墳時代中期における札式甲冑の導入と展開(古墳時代中期における札甲の変遷;日本列島における導入期札甲の構造と副葬の背景;古墳時代中期における札式付属具の基礎的検討;倭への重装騎兵装備の導入―和歌山県大谷古墳の事例から;古墳時代中期における渡来系遺物の受容とその画期)
第2部 古墳時代後期における甲冑の製作・用途とその性格(裲襠式札甲を含む武装の解明とその意義―愛知県大須二子山古墳出土甲冑セットと副葬状況に着目して―;衝角付冑と札式付属具の連結過程;日本列島における朝鮮半島系札甲副葬古墳とその周辺;革札を用いた札甲の構造とその意義;古墳時代以後―飛島寺・東大寺例にみる札甲の構造)
第3部 札式甲冑の導入・展開期における副葬品群の様相(同型鏡群の比較検討からみた副葬品の製作・入手・伝世;鈴付銅器の変遷と用途)
日本列島における渡来系技術の受容とその背景
著者等紹介
初村武寛[ハツムラタケヒロ]
1984年福岡県生まれ 長崎県出身。現在、公益財団法人元興寺文化財研究所 主任研究員。専門分野:古墳時代の甲冑を中心とした金属製品。金属製遺物の保存処理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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