目次
1 釜石 盆風景(釜石発リアス行き;釜石 盆風景 ほか)
2 釜石の風(魂のボート;呑ん兵衛横丁の師走 ほか)
3 沈黙と鎮魂(沈黙の詩、俳句―東日本震災を詠む;そこにある「花」 ほか)
4 海を求める心(泥まみれのお雛さま;漂流者 ほか)
著者等紹介
照井翠[テルイミドリ]
昭和37年岩手県花巻市生まれ。平成2年「寒雷」入会。以後、加藤楸邨に師事。「草笛」入会。平成5年「草笛」同人。平成8年「草笛新人賞」受賞。「寒雷」暖響会会員(同人)。平成13年「草笛賞」優秀賞受賞。平成14年「第20回現代俳句新人賞」(現代俳句協会)受賞。平成15年「遠野市教育文化特別奨励賞」(遠野市教育文化振興財団)受賞。平成25年第5句集『龍宮』により「第12回俳句四季大賞」および「第68回現代俳句協会賞特別賞」受賞。第47回蛇笏賞候補。現代俳句協会会員・日本文藝家協会会員・「暖響」「草笛」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鎌倉 幸子
6
照井翠さんの震災句集『龍宮』を読んでいたとき、5・7・5で刻まれる俳句の漆身の中で選び抜かれ研ぎ澄まされた言葉が胸にストレートに刺さり、ただただ涙があふれて止まらなかったことを思い出す。 そしてその照井翠さんが初めて出されたエッセイ集ということで、タイトルにもある釜石市を訪れ、まちの書店である桑畑書店さんでこの本を購入した。 震災直後のまちの風景、苦悩を背負った人々の様子が、『龍宮』同様、選ばれた言葉で丁寧に、力強く語れている。8年経ったからこそ、語ることができる言葉があり、それはまだ続いていく旅だ。2019/04/10
よし
4
東日本大震災前後に釜石高校の教諭を勤めた照井 翠さんによるエッセイ集。「藍生」2013年11月号から2018年12月号まで載ったエッセイを中心に、新聞への寄稿や俳句を交えた講演録などが収録されています。一つひとつの話が被災当時や復興中の現場の話であり、一句一句から、その時々の著者の凝縮された思いが伝わってきます。県内の内陸に住む人たちでさえ震災津波の記憶や現状を忘れがちでいることへの警鐘を意図されているようにも思えました。「三・一一神はゐないかとても小さい」や「潮染みの雛の頬を拭ひけり」が心に残りました。2019/05/25
かわくん
2
釜石は自分がかつて住んだ街。東日本大震災による津波で大きな被害を受けた。著者は当時、釜石市内の高校教師であり、俳人。この本は震災後の心象をつづったエッセーだが、自身の俳句が随所に掲載されている。時に厳しい現実を直視し、時に死者や被災者に心を寄せ、五七五の言葉に思いを込めている。「震災詠」ともいわれる一連の句だ。震災前、震災後の釜石を知る自分を作者の視点に置き換えて読んでみた。だから考え込みながら読むことが多かった。著者は句作によって震災に遭遇した自身の気持ちを昇華させたと思う。2019/04/04